2023年10月20日朝、全国の国内宿泊施設のオーナー10人が、世界最大の旅行予約サイト「ブッキング・ドットコム」の未払い料金の問題で、約3600万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴しました。
今年7月頃から、ブッキング・ドットコムから宿泊事業者への未払い遅延が相次ぎました。同社は10月10日になり、「システムメンテナンスに問題があり、大半の未払いは再開されているが、一部の事業者に支払いの遅延が発生している」と発表しました。
宿泊施設オーナーは、「世界最大のプラットフォーマーを信じていた」とし、各宿泊施設では資金繰りが悪化し、不動産の売却も余儀なくされた施設もあるとされます。代理人弁護士は、「未払いが継続すると多くの宿泊施設が倒産しかねないと」とコメントしました。なお、集団提訴を行った宿泊施設以外からも数多くの相談が寄せられていると言います。
ブッキング・ドットコムは2005年に日本国内で営業を開始し、オンライン決済代行システムを強み謳い、国内宿泊施設の登録数を増やしてきました。現在、日本国内で営業する外資系OTAで売上第1位で、世界的にも最大手です。
宿泊施設への未払いは7月頃から始まりました、通常、宿泊日の月末締めで1-2カ月後に支払われようです。なお、この時期は全国旅行支援が行われていたことから、各都道府県からブッキング・ドットコムに多額の助成金が支払われています。未払いの宿泊施設がある神奈川県の観光課は、「旅行会社には通常、宿泊日からおおよそ2カ月以内に助成金を支払っている」と言います。
ブッキング・ドットコムは資金繰りに困るような企業とは言えず、自社社員の給与は支払っているでしょう。また、税金が原資の全国旅行支援の助成金も受け取っていながら、自社システムの不具合は未払いの理由にはなりません。銀行から現金を引き出し、経営者や社員が宿泊施設に出向いて料金を支払っていれば、宿泊施設が不動産を売却する必要はなかったでしょう。