経済産業省は2024年7月25日、旅行大手5社に対し、補助金交付停止および指名停止措置を決定しました。指名停止期間は、企業によって2カ月または4カ月です。公正取引委員会の排除措置命令に基づき、省庁や自治体の対応は異なります。
問題は、2022年度の青森市による新型コロナ患者移送業務の入札でJTB、近畿日本ツーリスト、名鉄観光サービス、日本旅行東北、東武トップツアーズの5社が談合を重ねていたことに端を発します。公正取引委員会は2023年11月に各社に立ち入り検査を実施し(※)、調査の結果、今年5月30日に近畿日本ツーリストを除く4社に排除措置命令を発令しました。近畿日本ツーリストは立ち入り検査前の自主申告により命令を免れました。
排除措置命令の後、青森県内および全国で旅行大手4社の指名停止措置が広がりました(※)。なお、青森市は4社に遅れて、談合の中心的な役割を担っていた近畿日本ツーリストに対しても指名停止措置を取りました(※)。
経産省は、公取の排除措置命令から約2カ月後に、近畿日本ツーリストを含む5社を対象に対する指名停止措置を発表しました(※)。指名停止期間は、近畿日本ツーリスト、日本旅行東北、東武トップツアーズが2カ月、JTBと名鉄観光サービスが4カ月です。今回の措置について、経産省に尋ねると、「(公取の)命令後、全国の関係機関と旅行業者の関係等の調査を行い、省の要領に基づき今回の措置に至った」と話します。
なお、旅行業者の監督官庁の観光庁は、所管省庁 国土交通省の東北運輸局が7月3日に各社に指名停止措置を取りましたが、他の地方運輸局や観光庁、日本政府観光局の事業には適用されていません。観光庁と日本政府観光局に尋ねると、いずれも「国交省の要領に基づき、(当局が)都内所在のため、措置に及ばない」と答えました。公取の命令後から、旅行業者の指名停止は、地方自治体の要領に基づき全国に広がっています。