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フジロックで独クラフトワーク演奏にSNS議論-沈黙のフェス主催者とメディア

 2024年7月26日~28日に新潟県苗場で開催された「フジロックフェスティバル」で、テクノポップの先駆者でドイツのアーティスト「クラフトワーク」が演奏した楽曲「Radioactivity/放射能」の是非について、SNS「X」上で話題となっています。その一方…。

賛否議論

 27日のステージでクラフトワークは、昨年3月に他界した世界的音楽家の坂本龍一氏を追悼し、名曲「戦場のメリークリスマス」を演奏しました。さらに、1975年にリリースされた「Radioactivity/放射能」を坂本氏が監修した日本語の詩で披露しました。その際、巨大スクリーンには「日本でも放射能 きょうも いつまでも フクシマ放射能 空気 水 すべて 日本でも放射能 いますぐやめろ」という日本語の歌詞が投影され、その映像がSNS「X」に投稿されました。

 

 日本語版「Radioactivity/放射能」は、2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島原発事故の翌年に開催された反原発ライブイベントで初演奏され。それ以来、クラフトワークは世界中でこのバージョンを演奏しているとされています(Wiki)。

 

 一方、映像を見たSNS「X」ユーザーから批判の声が寄せられました。ある福島県議会議員は、「今回の演奏は悪趣味であり、差別的な内容。カタカナのフクシマで放射能に汚染されているイメージを売り出している」との批判を投稿。これや他の投稿などをもとに議論が生じました。

 

 SNS「X」上では、クラフトワークの演奏に批判の声が寄せられる一方で、クラフトワークの歴史や楽曲誕生の背景を知るファンは楽曲が持つ意義を主張する声も多く見られます。この他に、「クラフトワークのファンだが、今回の演奏には好感が持てない」など、さまざまな意見があります。

 

 このSNS上の議論について、フジロック主催者「スマッシュ」に尋ねるため、29日~30日に広報担当者に連絡を行いましたが不通が続きます。現時点、主催者の見解は表明されていません。また、日頃SNSでリーダーシップのあるロックアーティストによる意見も見当たりません。「日刊スポーツ」を除き、大手メディアもSNS上の議論は報じていません。

 

 大手メディア以外では、有名音楽サイト「rockinon.com」の編集長が「戦場のメリークリスマスからの放射能には強烈に揺さぶられた」とライブの感想を伝える記事を掲載、「billbord JAPAN」では、「そのメッセージ性の強さでもオーディエンスの心を揺らした」と演奏について伝える記事を掲載しましたが、SNS上の議論については触れていません。

 

 コロナ禍、約1.5億円の補助金を支出し、フジロックフェスティバル開催を支援した経済産業省において、原発事故収束に携わる関係者に尋ねると、「話題は知っている。(個人の見解として)賛否議論があるのは当然だと思う」ともらしました。

 

 現状、SNS「X」や日刊スポーツの記事のヤフコメ欄で、クラフトワークの演奏に不満を感じた匿名者と満足した匿名者が議論を交わしています。しかし、議論が生まれる機会を提供したフェス主催者「スマッシュ」や、SNSの話題を好むメディアは沈黙を続けています。原発に関する出来事における企業とメディアの距離感が示されています。

 

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