2024年9月18日、東京地裁で東京五輪に関連する談合事件の公判が行われ、検察側は電通元スポーツ局長補の逸見晃治被告(57)に懲役2年、持株会社の電通グループに罰金3億円を求刑しました。判決は2025年1月30日に言い渡されます。
検察側は、電通元幹部の逸見被告が、昨年有罪判決を受けた東京五輪大会組織委員会元次長の森泰夫氏(57)と共謀し、2018年にテスト大会と本大会の業務を受注調整し、競争を制限したと指摘がされました。一方、弁護側はテスト大会の違法性を認めつつも、本大会の運営業務は無罪を主張し、逸見被告に執行猶予付きの判決を求めました。
電通が受注調整に関与した東京五輪におけるテスト大会の計画立案業務は総額約5億円、本大会の運営業務は約432億円とされています。これに対し、電通には罰金3億円が求刑されました。これは総額437億円の約0.69%に相当。一方、逸見晃治被告の年収は推定額約2,000万円とすると、1日あたりの収入は約5万5000円。懲役2年(730日)の求刑に換算すると約4,015万円に相当します。
今回の事件において、検察はその社会的影響を踏まえ「ひときわ重大な事案」と強く批判しました。一方、逸見被告には懲役2年が求刑されていますが、電通グループに対する3億円の罰金は、年間売上高約5.2兆円の企業規模やオリンピック業務での報酬、日本社会が支払ったコスト(報道資源や評判の毀損など)を考慮すると、軽微である印象が残されました。
なお、東京五輪を巡る談合事件は、今年4月には広告大手・博報堂に罰金2億円が課され、子会社の元社長には懲役1年6月、執行猶予3年の判決が下されています。
東京五輪を巡る不祥事は、日本の国際イベント開催に対する信頼を損ない、札幌市の冬季五輪招致活動の停止や2025年大阪万博の機運の低調にも悪影響を及ぼしていると考えられます。
なお、電通グループは東京五輪における不祥事を受けて、2023年12月に「再発防止に向けた取り組み」を公開しました。