山形県米沢市の監査委員は2024年1月12日、市がDMO組織の米沢観光推進機構に支払った7600万円の負担金が市の損害となるとの監査結果を発表しました。
2023年11月に市民請求により実施された監査で、米沢市による2023年度の米沢観光推進機構への負担金支払い時、米沢市と観光推進機構の両方の代表を兼任していた中川元市長(昨年12月に退任)の名義で行われていました。監査では、これを利益相反行為と認定されました。
米沢市は2022年度5500万円、2023年度7600万円の合計1億3100万円の負担金を米沢観光推進機構に支払いました。監査では、2023年度分が民法違反にあたると判断されました。2022年度分の支払いは、市民の監査請求時点で1年以上経過していたため、監査対象外とされました。取材を行った関係者は「市長と団体副会長又は、副市長と団体会長の名義であれば違反にならなかったが、今回事務的なミスがあった」と話します。
現在、米沢観光推進機構の会長は近藤市長が務めています。監査委員は、市長に対して、違反金の7600万円を米沢観光推進機構に返却するよう求めました。または、法令に違反しない形で問題を解決する方法が模索されています。
米沢観光推進機構は2022年4月に設立された観光地域づくり法人(DMO)です。一般になじみの浅いDMOは、観光地経営を促進する組織として、2015年に観光庁の登録制度がスタートしました。当初、自ら稼ぐ組織として期待されましたが、最近は行政予算への依存体質が指摘されています。観光庁によると全国には282のDMOが設立(2023年9月時点)されています。