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青森市、コロナ談合で近ツーを9カ月指名停止-他の4社から15日遅れるも異なる要領適用を探り

 青森市は2024年6月19日、2022年度の新型コロナ患者輸送業務における談合事案で、近畿日本ツーリストを9カ月の公共事業の指名停止処分とすることを発表しました。これは6月5日に公表された他の旅行大手4社に続く措置です。青森市にその理由を聞きました。

近畿日本ツーリストロゴ

 この問題の発端は、2023年11月に公正取引委員会が旅行大手5社(近畿日本ツーリスト、JTB、名鉄観光サービス、東武トップツアーズ、日本旅行東北)に対して行った立ち入り検査に始まります。その後の調査により、今年5月30日に公正取引委員会は、近畿日本ツーリストを除く4社に独占禁止法違反による「排除措置命令」を発令しました。

 

 この命令を受けて、青森市は6月5日、JTBと名鉄観光サービスに18カ月、日本旅行東北と東武トップツアーズに9カ月の入札指名停止処分を行いました。その影響が、現在、青森県内を超え、全国の自治体で指名停止処分が広がっています。しかし、近畿日本ツーリストは、公正取引委員会の立ち入り検査前に談合について自己申告し、課徴金減免申請を受けたため、指名停止処分の対象外になっていました。

 

 よい旅ニュース編集部が6月15日に近畿日本ツーリストに事前申告について尋ねると、「昨年、全国自治体のコロナ関連事業で多数の過大請求事案が発覚し、社内点検を実施した際に青森市の業務で不適切な事案が見つかり、公取に申告した」と説明しました。また、「(申告時期は)立ち入り検査以前」とし、自己申告が立ち入り検査につながったかどうかは不明と答えていました。

 

 一方、談合が行われた新型コロナ患者輸送業務において、近畿日本ツーリストは青森市との直接契約を結び、市に通知せず他の旅行会社に業務の一部を割り振っていました。この取引行為が再度問題視され、今回の入札指名停止処分に至りました。

 

 今回の青森市による近畿日本ツーリストに対する処分は、他の4社とは異なるタイミングでの指名停止となりました。青森市契約課に聞くと「市の指名停止要領に基づき、先の4社は独占禁止法違反によるもので、近ツーは不正および不誠実な行為にあたると判断した」と説明しました。今後、青森市の判断の影響が県内や全国の自治体に広がるかは不透明ですが、既に青森県は最大12カ月の指名停止を発表しています。

 

 近畿日本ツーリストの親会社であるKNT-CTホールディングスは、全国自治体でのコロナ事業における過大請求問題について、昨年9月から順次発表してきた再発防止策の進捗状況の最終版を、6月14日に公開しています。

 

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