観光庁は2024年7月23日、令和6年度「宿泊施設インバウンド対応支援事業」の事務局として東武トップツアーズを採択したと発表しました。同社は5月に公正取引委員から排除措置命令を受けましたが、観光庁事業には適用されません。
この事業は宿泊施設のインバウンド対応とバリアフリー化を促進するための補助事業です。東武トップツアーズは宿泊事業者の募集や補助金の支払いなど、事業全般のサポートを担当します。同社は、観光庁の募集に対する、2件の応募から選ばれました。同社に支払われる金額は補助上限額1億400万円から支払われる交付額の10%上限とされています。
東武トップツアーズは2022年度に青森市のコロナ患者輸送事業での談合に関与し、JTB、名鉄観光サービス、日本旅行と共に2024年5月30日に公正取引委員会から独占禁止法違反の排除措置命令を受けました(※)。その結果、都道府県および市町村での入札指名停止が全国規模で拡大する中で、今回、観光庁事業の受託に至りました。
公正取引委員会の排除措置命令に対し、観光庁を管轄する国土交通省の東北運輸局が東武トップツアーズを7月3日~9月2日までの間、指名停止措置としましたが、東北以外の地方運輸局や観光庁事業には適用されていません。
旅行大手の談合事案は2023年11月に公正取引委員会が各社に立ち入り検査を実施し、その後調査が始まりました。検査直後、当時の観光庁長官の高橋一郎氏は定例会見で「極めて遺憾」と憤りを露わにしました。なお、排除措置命令は、立ち入り検査から約半年後の2024年5月30日に発令。高橋氏は7月1日の人事で観光庁を退官しました。
なお、東武トップツアーズの代表取締役会長執行役員の久保茂人氏は元観光庁長官で、その前任者の本保芳明氏は初代観光庁長官でした。同じポストには2代続けて観光庁長官が就任しています。