新潟市の地域航空会社トキエアの関連会社で同社のマーケティング部門などを担う「トキエアアビエーションキャピタル」(東京都千代田区)が、離島振興補助金を不正に受給していた疑いが浮上しました。疑惑は2024年8月20日、朝日新聞新潟総局などが報じました。
報道によると、トキエアアビエーションキャピタルは2022年度・2023年度に佐渡島での雇用拡大を目的として、住居やオフィス家賃など合計780万円の補助金を受給しました。しかし、雇用者3人中2人が佐渡市内に居住していなかったことが明らかになり、さらに、島内のトレーラーハウスを利用したオフィスでの勤務実態も不透明であることが疑われています。
補助金支給の条件について、よい旅ニュース通信が佐渡市に尋ねたところ、「新たに雇用された従業員が佐渡市内に住民票を移し、生活実態を伴い、オフィスで週20時間以上業務に従事することが求められる」と説明がありました。一部報道で、トキエア側が「佐渡市から雇用者が市内に住む必要はないと説明を受けた」と報じられた件について、佐渡市は「当時のやりとりの記録は残されておらず、内閣府の調査の判断の結果を待つ」としています。
一連の報道について、トキアビエーションキャピタルは20日にトキエア側のホームページで、「佐渡市より当該補助金のご紹介をいただき、法令に基づき対応してきております」と発表。広報担当者に問い合わせると、「取材を受けたところ誤解を招くニュアンスでコメント(「佐渡市から雇用者が市内に住む必要はないと説明を受けた」)が報じられたため、現在、ホームページの発表以外何も言えない」と説明を受けました。なお、疑惑が向けられているトキアビエーションキャピタルのホームページにはコメントが掲載されていません。
トキエアビエーションキャピタル代表を務める長谷川正樹氏(トキエア代表も兼務)は、日本本航空や新潟県庁、ジェットスター・ジャパン、三菱重工を経て現職に就任。同社ホームページでは、官民での業務経験を活かし、規制緩和等に係る調整経験が豊富であると紹介されています。
トキエアは新潟空港と札幌丘珠空港、仙台空港を結ぶ地域航空会社。2023年6月に運航が開始される予定のところ、準備不足により、今年1月31日に就航しました。同社は2023年8月、社員が以前に勤務していた航空会社から緊急対応マニュアルを持ち出した疑いで書類送検されるなどの問題も報じられています。