山梨県は2024年9月11日、定例知事会見において、前日10日に富士山吉田口登山ルートの今シーズンが閉山し、今夏実施した全国初の登山規制によって、登山道の混雑緩和と安全確保の成功、新たな課題を発表しました。(写真提供:山梨県)
登山規制は、訪日外国人旅行者の急増によるオーバーツーリズムが引き起こす登山マナーの悪化や山道の混雑、夜通しで頂上を目指す弾丸登山などの問題に対応するため、7月1日から実施され、国内外で話題になりました。
具体的な登山規制としては、入場ゲートが設置され、新たに2,000円の入山料の徴収、1日4,000人に登山者数を制限、夕方4時のゲート閉鎖などが行われました。
この結果、登山者数が4,000人を超えた日はなく、登山者数は12万5287人で昨年比18%減少し、夜間登山者数は708人で昨年比95.1%減少するなど、明確な効果が確認されました。また、「シーズンを通じて夜間の迷惑行為が減少し、山小屋からは夜間の静けさやごみの減少に対する肯定的な評価が寄せられた」と山梨県は述べています。
一方で、夕方4時の規制時間ぎりぎりにゲートを通過し、山小屋を利用せずに山頂を目指す「駆け込み登山」やTシャツ、短パンの「軽装登山」などの新たな課題について、次年度以降の対策が必要とされています。さらに、登山者からは静岡県側の登山口との統一的な規制実施を求める声が高まっており、来期に向けた取り組みが期待されています。
また、11日の記者会見で、長崎知事は地元メディアからの質問に答え、登山者数制限の人数やゲート閉門時間の再検証について、「関係者と意見交換を行い、来夏に向けて調整したい」と述べました。また、入場料については「登山者など受益者負担の観点から検討したい」との考えを示しました。