北海道美瑛町の「シラカバ並木」が、2025年1月14日に38本すべて伐採されました。地元メディアは13日時点で「1月中に伐採される見通し」と報じていましたが、翌日には伐採が実施されました。(写真:伐採されたシラカバ並木)
シラカバ並木は、昭和51年にたばこのパッケージデザインに採用された観光名所「セブンスターの木」の近くに位置し、多くの観光客が訪れるスポットとして知られていました。しかし、訪日外国人を主体とする観光客の急増により、迷惑駐車や車道の占拠による写真撮影、無断で農家所有の畑に立ち入る行為が頻発していました。
地元住民の生活や農業活動に深刻な影響を与える「オーバーツーリズム」の問題が浮き彫りとなっていました。美瑛町の人口約9600人に対し、2023年度には約239万人もの観光客が訪れています。
地元農家と美瑛町は協議を重ねた結果、観光客の密集による通行障害や、シラカバ並木が作物に日陰を作り農作物の生育に悪影響を及ぼしていることなどを考慮し、伐採を決定しました。美瑛町農林課は、「観光と農業がバランスよく成り立つようにしていかなければならない」とコメントしています。
美瑛町では2016年にも、観光客のマナー問題により「哲学の木」として知られるポプラの木が伐採されました。昨年には、訪日外国人が遊泳禁止の観光スポット「青い池」で泳いで、無許可でドローンを飛ばして撮影する問題を起こしました。
新型コロナ禍の終息を受け、観光庁は過去最大の予算を投じ、訪日外国人誘致に力を注ぐ中、全国各地でオーバーツーリズムが問題化しています。この問題に対し、同庁は今年度、「オーバーツーリズム対策」を事業化し、地方自治体や観光DMO、観光関連事業者など140団体に補助金を提供しました。現時点、その成果は明らかにされていません。