万博協会18日謝罪表明—「オールナイト万博」楽しんだ来場者へのは賞賛カット

2025年8月13日夜から14日未明にかけて、大阪メトロ中央線の送電設備トラブルにより運行が停止し、大阪万博の来場者が大規模帰宅困難者となった。これを受け、万博協会は18日(月)、ホームページを通じて、公式に謝罪を表明した。
万博協会は「多大な迷惑をおかけした」として、情報提供の不足や滞在施設、飲食提供の不備などを課題と認め、速やかな改善を約束。閉幕まで、安全・安心を最優先すると強調した。
今回のトラブルにより約3万人が夜通し会場周辺に滞留し、36人が救急搬送された。運営側は深夜にパビリオンや休憩所を開放して水や電源を提供し、大阪メトロも臨時バスや折返し運転などで対応したが、混乱は翌朝まで続いた。
一方でSNSやテレビ報道は異なるトーンを映しだしていた。会場プロデューサーの建築家・藤本壮介氏は「昨夜のオールナイト万博、お疲れ様でした。ポジティブに楽しく過ごしてくださった来場者の皆さん、ありがとうございました」とXに投稿。
パビリオンを手がけるメディアアーティスト・落合陽一氏も「パビリオンがパーリーナイト状態」「オールナイト万博で凄まじい底力を見た」と発信し、混乱を陽気な表現で描いた。SNSでは、「#オールナイト万博」のハッシュタグとともに、「一夜の思い出化」する空気が広がった。
さらに、翌朝のテレビ番組でも「楽しく夜を過ごした」とするコメントを優先的に取り上げる構成が目立った。しかし、その裏では体調不良や救急搬送が相次いだ事実が十分に取り上げられず、「混乱を楽しめなかった」多くの来場者への配慮を欠き、将来のリスクや課題が過小評価されていた。
万博協会から全体見解が示されていなかった14日夕方、よい旅ニュース通信が協会関係者に、藤本氏と落合氏のXでの投稿は協会も同じ認識かと尋ねたところ、困惑している様子を見せた。
18日に発表された万博協会の謝罪声明には、来場者対応に尽力した運営関係者への感謝は記されていたものの、「オールナイト万博」を楽しんだ来場者を称賛する言葉はなかった。