香川県、マンダリンホテル建設に80億円無利子融資 建設途中で11社連合資金難、県肩代わり

香川県は2025年11月7日、高松市と直島町で計画中の高級ホテル「マンダリン オリエンタル 瀬戸内」2棟の建設事業者・合同会社「四国まちづくり&おもてなしプランニング」に対し、最大80億円の無利子融資(ふるさと融資)を行う方針を示した。
同ホテルは建設工事が進む中で、建設費が当初の約250億円から約340億円に膨らんでいる。県は10月30日、事業者側から「ふるさと融資」制度の活用要請を受けた。こうした要請を受け、県は無利子融資の決定理由として、ホテル建設による地域経済への波及効果を挙げている。ホテルの宿泊費は1泊10万円前後を想定しているが、高松に92室、直島に22室と小中規模クラスにとどまる。
事業主体の合同会社「四国まちづくり&おもてなしプランニング」には、阿波銀行、伊予銀行、香川証券、サンケイビル、四国銀行、四国電力、JR四国、竹中工務店、日本政策投資銀行、百十四銀行、FUSOグループホールディングスの地場企業など計11社が参画している。運営は中国香港に拠点を置くマンダリンオリエンタルホテルグループが担う。
県は同社に対し、2025年度内に初年度の貸付を行う見通しで、3カ年で最大80億円の融資額が想定されている。制度上、利子は自治体が負担し、そのうち約75%が国の税金を原資とする地方交付税で補填される。返還期限は20年。
ホテルは当初2025年の開業を予定していたが、「資材高騰」などを理由に2023年12月時点で2027年夏へ延期され、計画規模も縮小されていた。
今回の無利子融資について、よい旅ニュース通信が県関係者に取材したところ、「結果的に初期見積もりの甘さは否めない」とした上で、11社の企業が80億円を分担できない理由について問うと、「事業者側の問題ではあるが、参画企業が多いことで調整が難航した可能性もある」と説明した。
結果として、すでに建設が進む段階で、本来潤沢な内部留保を持つ企業群が追加資金を拠出せず、県の無利子融資に依存する構図となった。
税金によるリスク負担を前提とする今回の決定は、「ふるさと融資」という制度の名を借りながら、建設途中で資金を失った事業者が県の無利子融資に頼る形は、参画企業の事業責任と行政判断の甘さも指摘される。
今回の事例を参考に、今後、全国で“計画的なふるさと融資ビジネス”が広がり、公的制度をあてにした無利子融資の乱用が進む懸念もある。
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四国まちづくり&おもてなしプランニング
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