電通G、東京五輪談合で上告棄却 独禁法違反で罰金3億円 元幹部に懲役2年・執行猶予4年

持株会社・電通グループは2025年12月11日、東京2020大会のテストイベントや運営業務を巡る独占禁止法違反事件について、最高裁第一小法廷が9日付で同社側の上告を棄却したと発表した。これにより、法人に罰金3億円、元スポーツ局幹部に懲役2年・執行猶予4年の判決が確定する。
これまで電通グループは、「テストイベント計画立案等業務」での法令違反は認めつつも、違反の対象がテストイベント実施や本大会運営等の業務にまで及ぶとした裁判所の判断は自社の認識と異なるとして争ってきたが、その主張は退けられた。
東京五輪談合事件を巡っては、大会組織委員会が発注したテストイベント計画立案業務などを対象に、広告大手の電通グループ、博報堂、東急エージェンシー、イベント制作会社のセレスポ、フジクリエイティブコーポレーション、セイムトゥーと、各社の担当幹部や大会組織委元次長ら計7人が、独占禁止法違反の罪で起訴された。
このうち電通グループ、博報堂、東急エージェンシー、セレスポと各社の元幹部は、東京地裁が法人に罰金刑、個人に執行猶予付き懲役刑を言い渡し、東京高裁も控訴を棄却して有罪判断を維持している。
フジクリエイティブコーポレーションとセイムトゥー、同社幹部についても一審で有罪判決が出ており、いずれも無罪を主張して控訴審で争っている。
また公正取引委員会は2025年6月、電通グループ、電通、博報堂、東急エージェンシー、セレスポ、フジクリエイティブコーポレーション、セイムトゥーに、談合行為の停止と再発防止策を求める排除措置命令とともに、総額約30億円の課徴金納付を命じた。現在、韓国系企業傘下の広告大手・ADKマーケティング・ソリューションズは排除処置命令を受けたが、違反について自主申告していたため、課徴金は免れている。