11月の終わり、都内で開催された東北ブロック記者説明会に参加して冬の東北旅行のことを考えるようになりました。まず、整理しなければならない課題は「冬」と「東北旅行」の関係。アバウトですが北と南の太平洋側、すなわち首都圏から東海の間の辺りに住む人が、パートナーや友人に「来年の1月か2月、東北旅行どう?」と聞いたら、「行ってみたいけれど、寒そう!」と返事をされることが多いでしょう。「けれど、寒そう」には拒絶反応とも受け取れます。ということを前提に進めます。
旅行しやすくなってきたところで迎えるこの冬。全国旅行支援で何度も旅行した人も、この3年旅行していない人も。日本中、冬なのに「旅行したい!」という熱はピークに達しています。年明けの2023年1月10日から始まる全国旅行支援に向けて旅行の計画を立てている人も多いでしょう。
日本の四季にコミットするなら冬の東北旅行
「行ってみたいけれど、寒そう!」と返されたらどう説得するか。相手は温暖の地を求めて、少しでも南の方位に行きたいと思っている可能性があります。
ただ、現実的にはハワイや東南アジアなどの海外、国内であれば八重山辺りに行かなければ、暖かいと感じることはできません。沖縄本島も微妙。内地から到着した人が「やっぱ沖縄って暖かい」と口にして到着ロビーに出るや否や、ダウンを着こんで寒そうにするウチナーンチュを見ると、さすがに空港で短パンに履き替えることにためらいを感じます。
また、1-2月は時期的に海外や八重山は難しい。候補は本州で「年間を通じて温暖で過ごしやすい」とPRしている地域を狙うか?この時期に行くと「東京と変わらない」「厚手の上着を持ってくればよかった」などど、愚痴をこぼしかねません。
なお、気象庁が12月20日発表した3か月予報では全国的に気温と降水量は平年並み。降雪は平年並みとのこと。
1月10日に始まる全国旅行支援は都道府県に割り振られた予算が終われば終了。具体的な予算額は公表されていません。ただ、初回の全国旅行支援で予算追加や期間延長されたことから、残された予算は僅かで早い時期に終わるはず。その後、全国旅行支援が再び行われることなないでしょう。
新しい年の旅行計画はスタートダッシュが必須です。ならば暖かさを求めるのはGWにあずけ、冬は日本の四季に敬意を表す意味で、完全無欠な日本の冬が体験できる旅先を選ぶのが筋。そのターゲットこそ「東北旅行」です。今は北海道を忘れて下さい。
「日本3大樹氷」観光|ロケーションは4か所?
12月以降、東北日本海側の青森県「八甲田山」、秋田県「森吉山」、山形県・宮城県「蔵王」では、山に植生する「アオモリトドマツ」に氷と積雪がくっつき、ぶつかり合いながら徐々に大きく成長する、アートのような樹氷が現れます。その姿には、「スノーモンスター」という異名がつけられています。樹氷は地理条件がもたらす自然現象のため自ずと樹氷ができる地域は限定されます。先ほどの3か所は「日本3大樹氷」と言われています。
雪の自然美 樹氷の鑑賞時期は3か所とも1-2月にトップシーズンを迎えます。
一方で、八甲田山、森吉山、蔵王と場所は違えど、「アオモリトドマツ」に生成される樹氷の姿自体に大きな違いはありません。ならどこの樹氷を目的地にするか?
現地関係者などの話を聞いてみるとそれぞれ特徴が見えてきました。流し読みして樹氷スポット選択の参考にして下さい。その上で公式サイトでデータを確認して下さい。
初心者から家族連れまで受入れる「3大樹氷観光」
樹氷にたどりつくには険しい雪道を歩く必要があるか?
その心配はいりません。樹氷がある場所まで山麓から家族とも一緒に乗れるロープウェイやゴンドラが運行しています。また、レストハウスや長靴などのレンタル用品もあります。
それってスキー場?と思うでしょう。確かにコースはありますが、ゲレンデ専用なら板を持つ人しかいません。「日本3大樹氷」は一般観光客がロープウェイ待ちをしています。ただ、観光だからといって気をつけたいのは防寒対策。マイナス20度の世界です。毎年夏になると、Tシャツや革靴で富士山に挑んで痛い目に合う登山客ならぬ、レジャー客のことが報道されます。真冬の樹氷観光でも毎年、タウンユースのダウンの観光客が現れるそう。スキー板こそ必要ありませんが、安心安全に樹氷観光を楽しみたいなら、超厚手のダウンかスキーウェアにしておきたいところです。
青森県「八甲田の樹氷」|荒々しい樹氷体験の後はカレーと温泉
日本100名山の一つに数えられ、冬は世界有数の豪雪地帯「八甲田山」。
山麓駅で「八甲田ロープウェイ」に乗り込んで標高1,314mの山頂公園駅へ(約10分)。冬期間、ロープウェイは9:00~15:40の間、15~20分間隔で運行します。
目的のスノーモンスターは、写真のような青天なら乗車中のロープウェイから鑑賞できますが、霧の濃い日や吹雪く日は視界が悪くはっきり見えなくなります。しかし、真冬の山なのでそれは当たり前、残念がることはありません。山頂公園駅に登ると、駅舎を出てすこし歩くと間近に樹氷を鑑賞できるエリアがあります。その時、足元が不安なら無料で長靴も借りられます。
ただ、「駅舎から外に出ると信じられないほど寒いので、慌てて(駅舎に)戻る人もいる。しっかり防寒対策してほしい」(青森県東京事務所)と自身の体験から忠告します。また、「ロープウェイに乗ることが目的で駅舎の外に出ない人も多い」(八甲田ロープウェイ)というような場所でもあります。
なお、その樹氷のさらに先には、樹氷原の間にスキー、スノボーコースがあり、地元ガイドのツアーに参加すれば滑走も楽しめます。ただ、「くれぐれも山頂からの単独行動は控えて欲しい」(八甲田ロープウェイ)と注意します。そこは映画「八甲田山」の舞台です。
樹氷の見頃は例年1月10日前後~2月末。イベント的に鑑賞期限の設定はありません。春先、晴れた日が増えるとともに降雪が減り樹氷が溶けたり、季節風で飛んでくる黄砂で雪が黄色くなったりすると樹氷シーズンは終了です。
コロナ禍、山頂にあったカフェレストランは閉店。名物「山頂カレー」の提供は終了しました。せっかくの人気メニュー、山麓レストランで「下山カレー」として提供したら話題になりそうです。なお、山麓のレストランには他のカレーが3種類あります。カレーに自信があるのでしょう。人気メニューは青森県産の帆立のフライを載せた「帆立カレー(1,100円)」(ご主人)とのこと。サクサクに揚がった帆立とは食べたくなります。レストハウスではさまざまな地元食材を提供しています。
最後に樹氷以外について聞くと、「樹氷観光の後は男女混浴1,000人風呂で有名な酸ヶ湯温泉へ。旅館ですが日帰り利用が可能。浴場は男女分かれていて、湯煙が立ち込めているから見えにくい。湯浴み(ゆあみ)着や女性専用時間帯もありますよ。」(青森県東京事務所)とPRします。
【ロープウェイ乗車料金】
■大人:片道1,250円(往復2,000円)
■小人:片道450円(往復700円)※小学校前は無料。
【現地アクセス】
■JR「青森駅」からJRバスで酸ヶ湯温泉駅方面に乗車して、「八甲田ロープウェイ駅 前」下車(約80分)。現地から酸ヶ湯温泉駅まではバスで約15分。
■「青森空港」からは定額タクシー(青森タクシー)が便利。「八甲田ロープウェイ駅」まで、普通車(定員4人)7,000円、ジャンボ(定員9人)9,500円。ジャンボは要予約。
「青森空港」はJAL、ANA、他に地方航空会社FDAが発着。ANAで「羽田空港」から「青森空港」の直行便はありません。ANAにこだわる一部の人は「伊丹空港」経由ですが、やはり東北・北海道新幹線が賢明です。
関連サイト
秋田県「森吉山の樹氷」|スマートな樹氷観光スポット
秋田県の森吉山(もりよしざん)の樹氷も「スノーモンスター」。もし、各地域で地域団体商標のような「森吉山スノーモンンスター」というような呼び名を付けたら樹氷の認知はさらに上がるでしょう。少なくとも地元紙や東北を代表する「河北新報」で記事になり。それがヤフトピでも扱われるかもしれません。
ここではまず「阿仁ゴンドラ(定員6人)」に乗車し、ゴンドラ山麓駅から標高1,167m地点のゴンドラ山頂駅に移動(約20分)。駅舎から5分歩いて標高1,200mにある樹氷群生地帯「樹氷平」を目指します。そこから整備された樹氷鑑賞コースをひと回り(約20分)する流れです。
山頂駅で長靴やスノーシュー、ストックを無料で借りられるので、ギアを入れ替えて樹氷平にアタックできます。
令和5年の樹氷鑑賞期間は1月7日(土)~3月5日(日)。冬期間、ゴンドラ運行は9:00~16:00の間、途切れなく運行しています。スキー客もいるからです。
また、2月の毎週土日祝日はナイトツアー「夜の樹氷鑑賞会」を実施。天気が良ければ星空と樹氷のコラボレーションが鑑賞できます。
「3大樹氷の中で知名度は低いが受け入れ体制が充実している。期間中、山頂駅に専門スタッフが常駐し、樹氷のレクチャーや樹氷作り体験なども行う。樹氷平コースでは間近で樹氷が鑑賞できる」(北秋田市観光物産協会)と言います。
【ゴンドラ乗車料金】
■大人:往復2,000円(片道1,400円)
■小人:往復900円(片道600円)
【夜の樹氷鑑賞会 参加料金】
■大人3,500円・小学生以下2,000円・2歳以下無料
※17:30~19:30の間(鑑賞時間は約40分)
※山麓からキャビン付圧接車に乗り出発。ゴンドラに乗りません。
【現地アクセス】
■JR「鷹巣駅」から秋田内陸縦貫鉄道で「阿仁合駅」下車(約60分)。「阿仁合駅」から森吉山周遊集合タクシー(予約)で「阿仁スキー場」まで(約30分)。
■JR「角館駅」から「阿仁合駅」下車(約80分)。以降同上。
■JR「鷹巣駅」または「大館能代空港」から「阿仁スキー場」まで森吉山周遊集合タクシー(要予約)で「阿仁スキー場」まで(約1時間30分)。
秋田内陸縦貫鉄道は2022年夏の大雨被害で運転を見合わせていましたが、12月12日に全線再開しました。
2023年2月28日までANA「羽田空港」~「大館能代空港」は、往復10,000円・片道5,000円のキャッシュバックキャンペーンを実施しています。2022年4月に始まった1日3往復の維持を目的に秋田県が補助します。赤字路線を抱えられない航空会社と、路線を維持したい行政の譲り合いのような取り組みです。乗客にとっては旅先で使えるお金がが増えて有難いキャンペーン。森吉山の樹氷を選ぶ理由にもなります。
大館能代空港ときりたんぽ鍋の関係
約10年前の冬、悪天候で飛ばないかもしれないし、飛んでも何時間後か分からないという状況におかれました。同行者と顔を見合わせ早々に翌日の便に振替え。夜しんしんと雪降る大館の街中の小さな居酒屋できりたんぽ鍋に舌鼓を打った記憶がよみがえります。店を出た後の記憶はありません。その時の記憶が秋田で一番の思い出になっています。念のため空港利用促進協議会に「冬は欠航しやすいか?」と聞くと、「(微笑み) たまに遅れることはあるけれど、無事就航している!」と言います。
その後見た空港ブログに解答が掲載されていました。確かにこれで欠航したら、東北の天候というより、乗客の日頃の行いに問題がありそうです。それでもその夜、きりたんぽ鍋があなたを待ってくれています。
山形県「蔵王の樹氷」|広大なスキーリゾートの一角がスポット
山形県と宮城県の県境を走る奥羽山脈にある蔵王。誰でも知っている地名です。ちなみに、知名度ランキングサイトの日本の山(総合)だと蔵王は24位、八甲田は21位と接戦。森吉山は574位でした。
八甲田山、森吉山の樹氷は「スノーモンスター」と呼びました。蔵王には「アイスモンスター」という呼び名があるようで、チラシやサイトで見かけます。「観光協会はスノーモンスターと呼んでいる。アイスモンスターは蔵王で樹氷を研究している山形大学の柳沢教授(現名誉教授)が使っている」(蔵王温泉観光協会)と聞きました。柳沢名誉教授は樹氷研究の第一人者で研究結果から大気汚染や地球温暖化に警笛を鳴らしています。
「アイスモンスター??我々は樹氷と呼びます」(蔵王ロープウェイ)と言います。このようなことは各地でままあります。もう少しはっきりさせておきます。山形県(東京事務所)に確認すると「どちらが正しいということは無い」と言います。
さらに、山形大広報室を通じて柳沢名誉教授に確認しました。「アイスモンスター」は昭和40年頃、雪氷学界が名付けた学術用語と言います。樹氷は大正3年に自然現象が確認され、大正10年に樹氷と命名。昭和に入り「モンスター」と呼ばれはじめた(戦時中、モンスターは禁止)。そして昭和25年に「ホワイトモンスター」、昭和30年に現在の「スノーモンスター」と呼ぶようになったそうです。地元でもはっきり分かる人は少ないでしょう。
やや脱線したので話を戻します。
蔵王の樹氷鑑賞コースは広大なスキーリゾート(蔵王温泉スキー場)の一角にあります。まず、「蔵王ロープウェイ(山麓線)」で蔵王山麓駅から標高1,331mの樹氷高原駅へ(7分)。そこから再びロープウェイ(山頂線)に乗車し、斜面に形成される樹氷を眺めながら標高1,661mの地蔵山頂駅へ(8分)。山頂駅周辺に樹氷原が展開しています。
蔵王の樹氷観光の目玉は夜間(17:00~21:00)の2つの樹氷鑑賞イベントです。
「もちろん日中もお勧め」(蔵王ロープウェイ)とも言いますが、他の地域より夜のコンテンツが充実しています。今風に言うとこれもナイトタイムエコノミーです。
「樹氷ライトアップ」は多彩なライティングで樹氷を照らし、幻想的な世界を演出します。「ナイトクルーザー号で行く樹氷幻想回廊ツアー」は樹氷高原駅からクルーザーに乗り込み、約30分かけてライトアップされた樹氷原沿いを走り、山頂駅手前を折り返して樹氷高原駅に戻るコースです。
樹氷の見頃は「例年1月末から2月いっぱい」(蔵王ロープウェイ)とのこと。見頃が1月末からというのは他の地域と違います。
【ロープウェイ乗車料金】
■大人3,500円・小人1,800円
※いずれも往復
【ナイトクルーザー号で行く樹氷幻想回廊ツアー参加料金】
■大人5,500円・小人4,600円
※出発時間(17:00・18:00・19:00)
※ロープウェイ山麓線往復を含む
【現地アクセス】
■JR「山形駅」から直通バスで「蔵王温泉」(約45分)。
■「山形空港」から空港シャトルライナーで「蔵王温泉」(約60分)。
宮城県「みやぎ蔵王の樹氷」|もう一つの蔵王は東京日帰りも可能
「蔵王の樹氷」といえば山形県蔵王温泉が有名ですが、蔵王連峰山頂の反対側に「みやぎ蔵王」があります。山形の蔵王を調べていて、誤って蔵王町(宮城県)に連絡すると、「向こうは有名だけど、みやぎ蔵王には恐竜みたいな樹氷がある!」(蔵王町農林観光課)と切り返されました。おかげで他の地域とは一味違う樹氷スポットにめぐり合いました。
「みやぎ蔵王」の樹氷観光の拠点は、「宮城蔵王すみかわスノーパーク」。この施設の特徴はアトラクションと旅行者の持ち時間を最適化するツアーです。
八甲田はロープウェイ、秋吉山はゴンドラ。山形蔵王は広大なスキーリゾートのロープウェイでした。これらに対し、みやぎ蔵王は、緑色の雪上車「ワイルドモンスター号」で、(面白可笑しい)専属ガイドの解説を聞きながら樹氷原に向かう「樹氷めぐりツアー」が樹氷鑑賞コースです。
東京からの旅行者に便利なのが「仙台駅」と「すみかわ」を往復送迎バスで結ぶパッケージプラン。料金はツアー参加費+2,000円。当日、仙台駅を出発(8:20)し、11:00頃から2時間ツアーを楽しんだ後、レストハウスで昼食を食べて。バスで「仙台駅」に帰る前、近郊の「遠苅田温泉」に寄り、温泉や散策を楽しみ(約2時間30分)、仙台駅に戻ります(18:15頃)。そこから東京へ日帰りも。仙台駅近くのホテルに宿泊して国分町で飲み食いもよいでしょう。なお、「遠苅田温泉」に寄らず、16時頃までスノーパークで遊んでいることも可能です。
【樹氷めぐりツアー料金】
■大人5,500円 / 8,500円(A)、6,500円 / 9,500円(B)、7,500円 / 10,500円(C)
■小人4,500円 / 6,500円(時期問わず)
※料金:左(スタンダード)/右(デラックス)
※時期:A(12/24〜1/6)、B(1/7〜31・3/1〜5)、C(2/1〜28)
【樹氷号パック/遠苅田温泉無料送迎バス参加料金】
■各樹氷めぐりツアー料金+2,000円
【現地アクセス】
■JR「仙台駅」から送迎バスで「すみかわスノーパーク」へ(約2時間10分)。
関連サイト
<課題を抱える蔵王の樹氷>
蔵王の「アオモリトドマツ」は2013年と2016年に虫食害を受けたことで木が痩せ細り貧弱になり樹林が減少しています。山形大学の研究では虫食害は地球温暖化が原因で、今世紀末に樹氷が完全に姿を消すとも予想しています。
「観光客は樹氷原を見て驚くけれど、地元で見ていると樹氷が明らかに減少している。観光に来て樹氷が消滅の危機に瀕してることも知ってほしい」(蔵王温泉観光協会)と言います。
秋田県&岩手県「八幡平の樹氷」|一般観光客が立ち入れない場所
これまで「日本3大樹氷」を紹介しました。
ここで4番目の樹氷として、秋田県と岩手県にまたがる八幡平(はちまんたい)を紹介します。それを知ったのは蔵王町職員の「八幡平にも恐竜のような樹氷がある。立ち入るのは大変ですよ」というひと言。
「八幡平の樹氷」の写真を見て驚きました「ナニコレ天界?」。観光客目線で八幡平が3大樹氷と明らかに違うのは、一般観光客を受け入れない厳しいロケーションにあるということです。山麓からロープウェイやゴンドラはありません。
秋田側は八幡平スキー場リフトでゲレンデを上り、そこから約5kmの雪山を歩くと樹氷原にたどりつきます。管理者の自然公園財団八幡支部スタッフが「3時間はかかる」と言います。それでも天界に行きたいなら、同団体のツアー参加や地元ガイドに同行してもらうことになります。
「2月になると山岳会がコースにリボンを付けた竹の棒を建てる。その通りに進まなければ危険。天気が良い日はラッキー、ホワイトアウトになればリボンすら見えない」(同団体)と話します。
岩手県側からも行くことはできます。同じくツアー参加や地元ガイドの同行が必須。安比高原から車で進めるところまで行き、そこから雪上車に乗りかえて進めるところまで進みます。雪上車から下り、雪山を歩いて樹氷原を目指します。なお、安比高原自然学校が主催するツアーは朝7時に出発し16時頃の戻り。八幡平市観光協会は山岳ガイドを紹介してくれます。
当然ですが「八幡平の樹氷」を目指す場合、3大樹氷のように防寒に注意するだけでは足りません。全体装備として捉える必要があります。自然学校主催ツアーの参加者向け装備一覧を紹介します(以下転載)。
「スノーシュー・トレッキングポール(雪用バッケット装着)・リュック・雪山に適したジャケット&パンツ・雪山に適したブーツ・軽量ダウンジャケット・フリースなどの中間着・ベースレイヤー(上下各種靴下ウール等の混紡などの冬用を推奨)・冬用手袋、帽子・サングラスもしくはゴーグル・フェイスマスクもしくはネックウォーマー・日焼け止め・タオル・昼食・行動食・飲み物・健康保険証・ビーコン」 |
【現地アクセス】
<秋田八幡平>
■東北自動車道「鹿角八幡平IC」から約30分。
※公共交通機関の利用不可。
<岩手八幡平>
■「岩手花巻空港」から予約バスで「安比高原」へ(約1時間20分)。
■「大館能代空港」から予約バスで「安比高原」へ(約1時間40分)。
■JR「盛岡駅」から路線バスで「安比高原」へ(約1時間)。
長編ガイドの閲覧を有難うございます。例年、年明けからの寒さに弱い筆者が自身に言い聞かせるように「冬の東北旅行」について考えました。その突破口として「樹氷」を提案しました。それと同時に2022年2月、網走の「流氷」を狙ったけれど、それがオホーツクのはるか沖に過ぎ去った春、オフシーズンの網走に訪れたことを思い出しました。
最後に記事を書いている最中、日本各地に大雪警報が出されました。各地で被害が出ています。その時、積雪と関係の深い樹氷観光を取り上げています。樹氷と被害に直接関係がある訳ではありません。ただ被害が出ている地域のことは思い浮かびます。気象庁はしばらく積雪が続く予報を出していました。予報が外れ、天候が回復することを願うばかりです。 |