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【奥能登レポ(前編)】地震と豪雨に揺れる能登、復興の歩みを探る旅の準備と混乱

 能登に向かう週の初め、すでに雨の予報が出ていたため、その影響を懸念していたが、2024年9月20日(金)の朝の気象情報で「雨雲は意外に早く去りそうだ」との予測を聞き、少し安堵していた。(写真©Google Earth)

能登半島・航空地図
9月21日の能登半島の豪雨災害で被害に遭われた皆さま、心からのお見舞いを申し上げます。そして、ご家族や大切な方々を亡くされた皆さまへ、謹んでお悔やみを申し上げます。

 

■予報を超えた奥能登豪雨

 そんな中、9月21日(土)の朝、奥能登の珠洲市、輪島市、能登町など奥能登を襲う豪雨の映像が飛び込んできた。大雨特別警報が奥能登全域に発令され、「命を守るための行動をとってください」という緊急アナウンスが繰り返され、ニュース番組では刻々と変わる現地の状況が報じられていた。

 

 それを見て、急いで飛行機とレンタカーの予約をオンラインで翌週に変更した。しかし、宿のキャンセルは電話で直接連絡が必要で、心苦しく感じた。翌週の状況が見通せなかったため、宿は一旦キャンセルした。

 

 能登行の予約をキャンセルした後、その日は能登の報道を注視し続けていたが、映像を見ながら、被災地に対する自分の無力さを実感した。

■岸田文雄総理大臣のポスト

 Xのタイムラインに、岸田文雄総理大臣(当時)の「ドジャースの大谷翔平選手が本塁打50本₋盗塁50回という50-50を達成され、さらに記録を伸ばして51-51という偉業を達成されたことに敬意を表します。引き続きご活躍を期待しています!」という投稿が流れてきた。

 

 この投稿時刻は9月21日10時27分。すでに奥能登には警報が発令され、被害が拡大していた時間帯だった。大谷選手が51-51を達成したのは前日の8時30分頃で、岸田総理の投稿はその1日後に行われた。

 

 その瞬間、国民は奥能登の豪雨被害を目の当たりにし、被災地への迅速な対応を期待していたため、この投稿に違和感を覚えた。

■今行ける能登?

 当初、9月22日から2日間の奥能登取材を控え、訪問先の選定に20日(金)の夜まで頭を悩ませていた。地震後、能登の市町や支援者がネットやSNSで、8月には石川県が「今行ける能登」をテーマに、再開した店舗や施設を紹介していた。

 

 特に、夏から9月にかけて再開する施設が増えていた。多くの場所を訪れたいと考えたが、2日間では回りきれない。これは、嬉しい悲鳴とも考えた。

 

 能登入りのタイミングを迷っていた頃、8月下旬に都内の増上寺でJTBの主催で「七尾港まつりinTokyo」という応援イベントが開催されたり、石川県紙の北國新聞が「今行ける能登」という連載を始めたりしたことに刺激を受け、よい旅ニュース通信編集部も9月中の取材を決定した。

 

 旅行のニュースサイトだからこそ、再開した店舗や施設などの「今行ける能登」を記事にしたいと。

■能登訪問を遠ざける原因は誰が作ったか?

 能登半島豪雨の翌週、能登出発直前に東京ビッグサイトで開催された旅のイベントに足を運び、石川県ブースの関係者に現状を聞いた。ある関係者は、「今も訪問者が少ないのは、発災直後に馳浩石川県知事が『来るな』と発言したことが大きく影響している」と漏らした。

 

 県知事の発言が、震災後に能登への訪問を控える空気を作り出し、その後も訪問者の回復が見られない現状を引き起こしている。成長期(人がどんどん入る)と安定期(人が維持される)につながる道筋は、ことの始まりの導入期次第であることは、マーケティング理論としても明らかだ。

 

 さらに、この状況を悪化させたのは大手メディアの報道姿勢だろう。メディアでは被害の大きな地域ばかりが強調され、再開した店舗や現地の生活の様子がほとんど報じられなかった。

 

 そのため、「能登を訪れるのは時期尚早だ」という誤解が広まった。春以降は、衆院補選や都知事選、パリ五輪といった話題に夢中になり、能登の状況はほとんど報じられなくなった。

 

 加えて、メディア記者自身が現地で宿を取る経験が無かったり、宿に取材を行わなかったり情報が更新されず、「宿が取りにくい」という噂も根強く残ってしまったことが考えられる。

 

 能登訪問を遠ざける原因には、馳浩知事の発言や大手メディアの報道姿勢がある。しかし、結局、一般の個人が能登の現状を深く知ろうとしないことが、こうした空気を助長しているのではないか。今回、自分自身もその1人だと痛感した。

■誰でも目指せる能登

 結果的に9月26日(土)からの能登入りが決定した。先週の豪雨による影響は不明だが、できるだけ多くの場所を巡りたい。飛行機とレンタカーは21日に変更予約を済ませており、その後、穴水と珠洲の同じ宿も再予約が完了した。

 

 宿が予約しづらく、料金が高騰しているとの噂があったが、9月上旬に能登行きを検討し、いくつかの宿に問い合わせた結果、平日は復興支援者で満室となることが多いものの、週末には支援者が休暇を取るため予約が比較的取りやすいと聞いた。宿泊費も震災前と変わらないことを確認できた。

 

 予約の際は宿に直接確認することをお勧めしたい。仮に予約が取れなくても、電話で得られる情報がある。

 

 能登半島地震や奥能登豪雨の影響で観光インフラは脆弱だが、飛行機やレンタカーでの訪問は十分可能だ。レンタカーが予約できない場合でも、能登空港から「ふるさとタクシー」を利用して各市町にスムーズにアクセスできる。

 

 今回の能登訪問の手配は、多少の調整は要するが、ゴールデンウィークや年末年始に比べると格段にスムーズで、一般の個人でも「今行ける能登」に参加できることが明らかになった。

 

※本レポートは全3回で、奥能登での地震と豪雨被害、そして再開した店舗の現状を現地取材を通じてお届けします。

関連サイト

今行ける能登

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