アゴダ予約トラブルで観光庁が改善要請も被害続く—記者も年末に海外で体験

外資系宿泊予約サイト「Agoda(アゴダ)」において、「予約済みの部屋が確保されていなかった」とするトラブルが相次ぎ、観光庁が2025年3月、同サイトの国内運営法人に対して業務改善を要請していたことを、6月23日に共同通信が報じた。
アゴダは、本社をシンガポールに構えるオンライン宿泊予約サイトで、お笑いコンビ「バナナマン」が出演するテレビCMでお馴染みだ。
今年3月、観光庁より業務改善の要請を受けた同社は、4月に対応策を提示したが、6月以降も問題は解消されておらず、今後は行政処分に発展する可能性を残す。なお、業務改善要請は正式な行政処分ではないため、3月に観光庁から公表されることはなかった。
大手ホテルなどでは、料金を支払い予約を完了した訪日外国人旅行者が現地に到着後、宿泊先が確保されていない事例が相次いでいる。また、予約日や部屋タイプの不一致といった誤表示によるトラブルも発生している。
この件に関し、よい旅ニュース通信が観光庁に問い合わせたところ、「アゴダに関するトラブルは、地方運輸局や日本旅行業協会を通じて報告が上がってきている」との回答があった。さらに、「アゴダ日本法人に対してトラブルの是正を要請するとともに、現在、同社に関する情報収集を行っている」と説明した。
アゴダをめぐる問題について、よい旅ニュース通信は2023年にも同社が日本国内の法令に違反する「白タク」業者を斡旋していた件を報じている。
外資系OTAリスクと被害回避の対策
昨今、外資系オンライン宿泊予約サイトは、日本法人を設立し、豊富な施設数や低価格を打ち出して人気を集める一方で、各社サービスの利用者が不利をかぶる事例がSNSでしばしば報告されている。現地で宿泊できないという最悪のケースを避けるためには、まず「アゴダを利用しない」、次に「外資系サイトを利用しない」、または、予約直後、「予約した施設に直接確認する」ことだ。
筆者も年末のタイ旅行で被害に遭う
筆者も、2024年末にタイを訪れた際、アゴダを通じて予約していたホテルでトラブルを経験した。主要都市からバスで2時間をかけて目的地の田舎町に到着し、徒歩でホテルへ向かっていると、日本から国際電話がかかってきた。流ちょうな日本語を話す外国人スタッフから「予約は取れていない。他を探せないか」と告げられた。
筆者のケースでは、サイト上で予約手続きは完了していたものの、アゴダ側では正式に予約が成立していなかったことになる。その宿泊施設に滞在することを目的に現地入りしていただけに、言葉を失った。
道端で数度のやり取りを重ねた結果、予約していた施設のオーナーが自身の部屋を提供するという異例の対応に至った。チェックイン後、複数の予約サイトを確認したところ、年末という繁忙期で周辺のホテルには空室が無かった。
幸いにも、その町での滞在は1泊のみであったため、1日我慢をしたが、旅先でこのようなトラブルに見舞われてストレスとなった。なお、外資系らしく、その後も帰国後も同社からフォローアップの連絡は一切ない。
この一件を通じて、アゴダと宿泊施設との間における予約管理ネットワークの脆弱さが強く印象に残った。また何よりも、電話口の外国人スタッフが他人事のように「予約は取れていない」と伝えてきた態度を思い出す。
同社の経営陣には、ポイントキャンペーンやセール情報の発信に偏重するのではなく、根本的な予約管理システムの技術改善と、日本市場に適したカスタマーサポート体制の構築に投資を集中させることを求めたい。