大阪府の吉村洋文知事は2025年2月5日、大阪万博(4月13日開幕)の前売りチケット販売が低迷している現状を受け、石破茂首相と面会し、当日券の販売を提案しました。石破総理もこれに賛同し、2月の理事会で正式に議論される見通しです。
大阪万博の前売りチケットは、2025年1月末時点で約766万枚の販売にとどまり、目標の1,400万枚には遠く及びません。購入者の多く協会を支援する経済団体や、大阪万博関連事業で利益を得ている企業と考えられ、一般消費者への販売促進が課題となっています。
吉村知事は、前売りチケット販売不振の理由として、オンライン購入手続きの複雑さを指摘し、「当日券の販売を通じて、より多くの人々が万博を訪れる機会を提供したい」と述べました。一方、当日券の販売により一般消費者の関心を高め、開会式までの約2カ月間における前売りチケット販売低迷の話題を払拭する狙いも考えられます。
前売りチケットを巡っては、購入手続きで取得される個人情報の範囲の広さがネットで懸念されています。万博協会が取得した個人情報は、政府(外国政含む)や協賛企業、出展者、広告会社などへ提供される可能性が規約に定められ、プライバシー面での不安を抱く消費者も少なくありません。
当初、万博協会は前売りチケット制導の導入は、開催の機運の高まりを前提として、当日券販売時の混乱を防ぐ狙いがありました。結局、前売りチケットの販売が想定通りに進まず、昨年夏頃からチケット販売方法の改善が求められるようになりました。
万博協会は、2024年10月からは全国のコンビニや旅行会のチケット引換券の販売を開始し、11月には関西経済連合会の佐藤副会長(パナソニックHD)が中国・北京のPRイベントで現地旅行会社に協力を呼び掛けています。
なお、チケットの広報・プロモーション業務は、電通を代表とする共同企業体(電通以外は非開示)が10億5,160万円で受注。事業の仕様書では、入場チケット2,300万枚の販売、入場者数延べ2,820万人の目標達成に向けて、コンテンツ制作やSNS戦略を会期末まで行うと定められています。