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【地元から通信】JR三江線の廃線を乗り越えて にぎわいが戻ってきた(島根県川本町)

シリーズ第2回「よい旅⇌地元から通信」です。今回の寄稿は島根県 川本町観光協会 原さんから。川本町は編集部が「萩・石見空港」周辺を調べていて巡りあいました。
88年間走り続けたJR三江線の廃線から間もなく、ある取り組みが始まりました。鉄道廃線でしょんぼりしそうなところ、川本町は違いました。春には注目のイベントがあるようです。ぜひ川本町への旅を検討ください(編集部)。

川本町

読者の皆さま、こんにちは!川本町観光協会の原と申します。
川本町(かわもとまち)は島根県のほぼ中央に位置する人口約3,000人の小さな町です。そんな町の中心を走るJR三江線が約5年前に廃線を迎えました。100kmを超える鉄道路線の全線廃止は、国鉄時代を含め本州初の事例として話題になりました。
廃線後、町は閑散としてしまったのでしょうか?そんなことはありません!
今回の「地元から通信」では、JR三江線の廃線を、地域が一体となり乗り越えたストーリーを紹介します。

 

島根のおへそ「川本町」とは

川本町は中国地方最大の河川である「江の川(ごうのかわ)」の水運により、古くは石見銀山の玄関口として栄え、宿場町として発展しました。江戸から明治時代にかけては鉄や銅の産出が記録され、商業を中心に形成された町です。
人口は約3,000人。離島を除いた島根県内で一番面積が狭く、数時間で一周することができるコンパクトタウンです。島根のおへそともいえる県の中央に位置し、世界遺産である石見銀山まで車で30分、広島市内や出雲大社まで1時間30分と近隣観光地へのアクセスに便利な立地です。

 

首都圏から飛行機でお越しいただく場合は、県西部「萩・石見空港」や県東部「出雲縁結び空港」、そして「広島空港」のいずれからも車で約2時間です。
JRやバスを乗り継いでの旅行もお楽しみいただけます。例えば、少し慌ただしくなってしまいますが、土曜日の朝に羽田空港から萩・石見空港へ移動し、石見銀山、もしくは銀の積出港として栄えた温泉津(ゆのつ)温泉を巡って川本町に宿泊。日曜日は広島へ移動し市内観光をしてから広島空港よりお帰りいただくという、周遊弾丸ツアーも可能なのです!また、萩・石見空港では、運賃のスポット助成やレンタカー割引などのお得なキャンペーンを行っています。ご利用の際はぜひ事前にウェブサイトをチェックしてみてくださいね。

島根のおへそ「川本町」とは
県西部「萩・岩見空港」、東部「出雲空港」。「広島空港」のいずずれからも車で2時間

ありがとう三江線

江の川に沿って走るJR三江線は日本屈指のローカル線として、見るものを飽きさせない雄大な自然美を誇り、沿線住民や多くの鉄道ファンに親しまれました。一方で、日本一利用者の少ない鉄道として幾度となく廃線の危機にさらされた路線でもあります。
JR三江線の鉄道事業廃止届は平成28年9月にJR西日本から提出されました。この届けをもって、平成30年4月1日でのJR三江線の廃線が決定したのです。決定後は、その勇姿を一目見ようと、全国から鉄道ファンが詰めかけ、連日多くの乗客でにぎわいました。運行最終日には沿線各地で記念式典が行われ、たくさんの参加者がその別れを惜しみながら最後の列車を見送りました。一部区間開通から約88年という長きにわたり、沿線市町とともに歩んできた三江線の歴史に幕が下りたのです。


 

廃線を乗り越えて、レールバイク発進!

静寂に包まれた駅にガタンゴトンとあの音が…!?川本町観光協会では、廃線となった線路の活用を目指して平成30年6月より“レールバイク乗車体験”を始めました。レールバイクとは実際に列車が走っていた線路の上を、自分で運転して前に進む新感覚の「廃線アクティビティ」です。運転士になった気分でわくわくドキドキの非日常体験を楽しめます。令和4年3月には、これまでの400mコースに加え、新たに2㎞コースが登場しました。カーブや景色の変化に富み、乗り応えがあると好評で、多いときでは1日100名以上の方にレールバイクに乗車いただいています。平成29年の旧石見川本駅の1日あたり平均乗車人数が18人だったことから考えると、以前よりにぎわっているともいえるかもしれません。

川本町レールバイク
本物の線路で遊べる旧石見川本線

 

レールバイクイベントは観光協会職員とボランティアスタッフで運営しています。町にある島根県立島根中央高校の生徒や、町のこどもの居場所づくりに取り組んでいる団体「あそラボ」で活動する大学生たちも一緒にイベントを盛り上げてくれています。また、元JR職員の方々にもご支援をいただき、普段立ち入ることのできない線路でのポイント切り替えやダッチングマシンを使った特別乗車券への印字など、川本町だけでしか味わえない駅仕事体験のイベントも開催しています。

 

私は三江線の廃線後に川本町に移住しました。はじめてイベントに参加した時に、勉強や部活に忙しい高校生や大学生が、大人たちと一緒になって町を盛り上げる姿に衝撃を受けたことを今でも覚えています。島根県には多くの公立高校に寮が併設されていて、全国から「しまね留学生」を受け入れています。島根県立島根中央高校では約36%の生徒が島根県外から入学しており、高校では地域ぐるみの交流を通じた学びに取り組んでいます。(令和4年5月時点)だからこそ、幅広い世代が一丸となり町の活性化を推進できるわけですが、これって結構すごいことなのでは?と個人的にはかなり誇らしく思っています。

川本町レールバイク
川本町レールバイク
川本町レールバイク

 

3月5日は三江線の日

令和5年3月はJR三江線の廃線から丸5年となる節目です。この機会に多くの方に町を訪れていただけるよう、川本町観光協会ではたくさんのイベントを企画しています!
3月5日(日)の「三江線の日」に行われるレールバイク ビタ止め選手権に始まり、3月25日(土)、26日(日)には、駅舎に特設ステージを組み、石見神楽や江川太鼓、吹奏楽などの町民参加型のイベントを開催します。昨年テレビ番組の収録で「ガンバレルーヤ」さんに、ビタ止め選手権へ挑戦いただきました。ブレーキがない足漕ぎ式のレールバイクを定位置にビタっと止めるのは意外と難しく、いつかオリンピック競技に選ばれるのではないかと大盛り上がりでした。皆さまの挑戦をお待ちしております。

 

日本海テレビ ガンバレルーヤの週末移住バラエティ 冠ルーヤ
※川本町での収録回はHuluやFANY Channelで見逃し配信中です!

 

廃線から丸5年の節目となる3月31日(金)は、三江線ラストランの運転を担当した、元運転士である那須野さんのトークショーとお宝鉄道部品の展示会を行います。そして、4月2日(日)には、旧因原駅へ出張し、さくらレールバイクを運行します。イベント情報は観光協会ウェブサイトやSNSでご案内いたします。ぜひこの機会に川本町にお立ち寄りください。

川本町の因原桜
桜の季節、旧因原駅周辺では桜が咲き乱れる

まだまだあります。町のみどころ

春の妖精イズモコバイモ

イズモコバイモはユリ科の多年生植物で、環境省のレッドデータブックにおいて絶滅危惧種に指定されています。川本町の谷戸(たんど)地区には、専門家から日本一の評価を受けている群生地があり、地域住民が中心となり、保全活動に取り組んでいます。

 

草丈は15~20cm、茎の先端に1輪の下向きの可憐な花を咲かせますが、開花、結実の後には枯れてしまいます。開花時期は3月の上旬から4月の上旬で山崖斜面一面を彩る花たちを観察できます。
毎年3月の1カ月間はイズモコバイモ祭りが開催されます。期間中はガイド案内や勉強会が行われ、たくさんの方にお越しいただいています。

イズモコバイモ
町で守っていきたい絶滅危惧種「イズモコバイモ」

里山のスーパーフード

エゴマはシソ科の植物です。種子と葉が食用となり、種子からは油が取れます。エゴマには、必須脂肪酸(オメガ3)のひとつであるα-リノレン酸が豊富に含まれていることから、健康食品として非常に注目されています。

 

αリノレン酸は、体内に摂取されると、DHAやEPAに変化し、血栓を防ぐとともに血中のLDL(悪玉)コレステロール値を低下させ、脳梗塞、心筋梗塞などの血管障害を予防するほか、アレルギー反応を抑制する作用などがあります。実際に、島根大学医学部との共同研究をおこない、骨粗しょう症や動脈硬化の予防につながる効果があることが証明されています。

 

川本町では、川本町産のえごまを使い、厳選された種子をゆっくりと圧力をかけて搾取したえごま油や、葉から作ったえごま茶、加工食品や調味料を生産、販売しています。川本町産のエゴマを食べて育ったえごま鴨は、エゴマの健康効果を兼ね備えているだけでなく、歯ごたえとジューシーな味わいが特徴です。

川本町のえごま
川本産エゴマ(8月頃)
川本町のえごまの実
エゴマの実
川本町のエゴマ商品
さまざまな事業者がエゴマ商品の開発に意欲的

 

源泉かけ流しの湯「弥山荘」

湯谷温泉弥山荘は、山あいにたたずむ日帰り天然温泉施設です。この地はかつて戦国武将らがその傷を癒やした湯治場であったと伝えられています。すり傷や関節の痛み、皮膚病を和らげる効能があり、保温保湿効果のある湯冷めしにくい泉質です。薬湯や信楽焼のつぼ湯、ドライサウナやミストサウナなど多彩なお風呂を楽しめます。

 

併設されているレストランでは、えごまや石見ポークを使った料理を味わえます。売店では町の特産品を販売しています。バイクツーリングの休憩などにも、ぜひお立ち寄りください。

川本町の温泉 弥山荘
源泉かけ流し温泉でお得なお値段(一般400円・小学生200円)

 

島根県有数の大ホール

川本町にある「悠邑ふるさと会館」は最大収容人数千人を誇る島根県内有数の大ホールです。高い天井には音響反射板が舞台を囲むように取り付けられており、迫力満点の音を響かせます。発光ダイオード照明ではプログラムによる複雑な演出が可能です。名器スタインウェイのグランドピアノも備えております。

 

直近では、劇団四季や音楽座などの名だたる劇団の公演や、服部 百音さんや亀井 聖矢さんなどの国際コンクール優勝者が参加する公開収録などが行われました。川本町では、町を拠点とするアマチュア吹奏楽団「悠邑ふるさと吹奏楽団」が地域に根付いた活動をしています。令和5年2月には記念すべき第20回の定期演奏会が開催されました。

 

川本町観光協会ではウェブサイトやSNSなどを活用し、地域の観光情報やイベント案内を行っています。今年もたくさんの方に川本町を訪れていただけるよう、新しい取り組みを積極的に行っていきます。
この記事を最後までお読みくださった方は、きっと川本町との相性抜群です。ぜひフォローしてみてください!

 

文章:原 葉子(川本町観光協会)

令和4年10月に地域おこし協力隊として、東京から川本町に移住しました。前職は外資系IT企業で営業・コンサル職をしていました。ライフスタイルはガラッと変わりましたが、日々豊かな自然とおいしい島根の日本酒を楽しんでいます。目下、車の運転の練習中です。

地域おこし協力隊は未経験の業界に新しい環境で挑戦するにはもってこいの制度です。川本町では現在、高校魅力化コーディネーターと情報発信強化職員を募集しています。詳細はこちらのサイトからご確認ください!

 

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