【地元から通信】大河ドラマ後も「明智光秀のまち」の挑戦は続く ｰ 光秀を超えていけ ｰ（京都府 福知山市）

シリーズ第6回「よい旅⇌地元から通信」です。今回は京都府福知山市シティプロモーション係の宇都宮さんから寄稿が届きました。福知山市の情報を気にし始めたのはコロナ禍の始め2020年に放送された「明智光秀」の情報に触れて。当初、大河ドラマ効果で観光に期待していただろうに気の毒だと思いました。一方、福知山市は逆境にめげず、明智光秀を街の在り方に投影し、あの手この手でPRを続けていました。明智光秀はさぞ喜んでいることでしょう。
「地元から通信」を始める際、頭に浮かんだのは福知山市。それはPRマインドがあるからに他なりません。今回、ある日？に合せた記事公開をします。この記事で福知山と明智光秀の関係を知り、ぜひ福知山の旅へお出かけください。

こんにちは！京都府福知山市役所の宇都宮と申します。
5年前に移住してきて、市職員としてまちの魅力発信を行っています。
読者の皆さんは、きっと福知山市は初めましてという方が多いですよね？
離れていても、こちらの空気感が少しでも伝わると良いなと思いながら、「地元から通信」福知山市編、はじめます。

京都・大阪・神戸市内から、車や電車で北へ1時間半ほど。
緑の濃い山々がパッと開けて、盆地に広がるまちが見えてきます。
それが、京都府福知山市です。

人口は、約7.5万人。
まちの真ん中には、明智光秀が築いた福知山城。
エリアは、明智光秀的には「丹波」、今風に言うと「奥京都」「森の京都」に位置します。

「いがいと！福知山」のキャッチフレーズのとおり、知る人ぞ知る名店・名所が多かったり、本州3位の出生率（2.02！）だったり、意外な特徴がいろいろあるのですが、今回は「明智光秀」に絞ってお届けします。

というのも、福知山市に移住してくるまで明智光秀のことを「本能寺の変」くらいしか知らなかった私が、まず思ったことは……

こんな明智光秀のことが好きなまち、ある？

それくらい、明智光秀に関するエピソードが豊富なのです。

➊ 福知山は昔「福智山」で、明智の「智」から名付けられた

織田信長から命じられた明智光秀は、天正7（1579）年に丹波を平定。
城と町を築き、明智の「智」の字を用いて「福智山」と名付けたと伝えられています。

まちの礎をつくった良君として、今でも親しまれている人物なのです。
その証拠に……

❷ お祭りでは、明智光秀ゆかりの音頭を踊る

♪明智光秀、丹波をひろめ　ひろめ丹波の福知山
と歌詞に出てくる「福知山音頭」。
「日本一難しい盆踊り」とも言われますが、福知山っ子は、踊れちゃいます。

ちなみに地元の子どもたちは、郷土学習で明智光秀のことも学びます。
中学生に「福知山のスターって誰だと思いますか？」と尋ねると、市出身の千原兄弟さんらとともに、明智光秀の名前もフツーに挙がってきます。
今、テレビで見ない日はない超売れっ子と並ぶほどポピュラーなんて……光秀よ、お主、やるな。

❸ 26万筆の署名で「明智光秀」を大河ドラマに！

福知山市は、近隣の市町と協力して、明智光秀やそのまわりの歴史人物の大河ドラマ化を願う署名を、2011年に集めはじめました。
その後、本当に明智光秀が大河ドラマの主人公になったので（『麒麟がくる』2020年～21年放送）、署名活動も終了。
その数、なんと26万筆！

「知られざる明智光秀」を全国の人に広めたい。
地元の人々がどれだけ強く思っていたか、その熱意が伝わる数字ではないでしょうか。

それにしても『麒麟がくる』は、激動の戦国時代のなかで未来を切り拓こうとする明智光秀が、コロナ禍の時代を生きる私たち自身とも重なって、まさに「社会の写し鏡」のような作品だったと思います。
長谷川博己さんの清新な光秀像、ステキでしたね。
麒麟ロスの方が多いのも、納得です。

さて、私もここで暮らし働くうちに、「明智光秀」や、その文化を生かした「まちづくり」に魅せられてきました。
大河ドラマを契機にどんなチャレンジを皆さんとおこしたかというと……

❹ コロナ禍のピンチを救った「謀反のお知らせハガキ」

2020年の『麒麟がくる』放送中、コロナ禍ですべてのプロモーション計画が白紙に。
その窮地を救ったのは、歴史パロディ作家・スエヒロさんの役所ハガキに似せた「謀反のお知らせハガキ」でした。

2020年春、初の緊急事態宣言の最中。
本能寺の変の“推し説”をオンライン投票してもらう「本能寺の変 原因説50 総選挙 #HNG50」を開きます。
「抽選で謀反のお知らせが届く」としたところ、Twitterで火がつき、全国および海外から3万人以上が参加してくれました。

本能寺の変の日（6月2日）に合わせた投票結果発表も話題になりました。
1位は4046票を集めた「暴君討伐説（※信長非道説）」。
どうでしょう、意外でしたか？

ちなみに、最下位の50位は48票で「近江士豪連合関与説」でした。
ぜひ、原因説50の投票結果を確認してみてください。

全体的に、光秀に対して好意的、または同情的なコメントが多かったです。
皆さんの光秀に対するイメージが、「主君を討った裏切り者」から、多様に変化しているなぁと感じる出来事でした。
（ちなみに、私は福知山に来て「光秀」と名前で呼ぶようになったので、ここでもそうしています）

❺ 「明智光秀を超えていけ」まちを変えてゆく“変化人”を応援

一般的に、大河ドラマの効果は一過性といわれます。
たしかに福知山城の入館者数が激増した大河ドラマ中と比べて、2年後の今は落ち着きました。
それでも、明智光秀のイメージは変わってきました。
そして、私たちも、自分たちのまちや、ゆかりの武将が世の中に知れ渡っていく嬉しさを知りました。

明智光秀は、戦乱の後の世を見据えて、この地に福知山城を築き、まちを拓いたといわれます。
そんな光秀から脈々と受け継がれてきた、まちづくりへの挑戦心「光秀マインド」。
これをテーマにした新たな挑戦を、2022年からはじめました。

明智光秀を超えていけ。「福知山の変」。

まちの礎を築いた光秀を超えていくような挑戦をし、このまちを変えていく“変化人（へんかびと）”を応援するシリーズ企画です。（現在も継続中）
登場するのは、みんな、福知山市民。

ぜひ、福知山の変化人の活躍に注目してください。
♪明智光秀、丹波をひろめ ひろめ丹波の福知山

光秀の時代から400年以上たった「現在」の福知山市が、イキイキと見えてくるはずです。

また機会があれば、「鬼」「スイーツ」「肉」など、福知山市のほかの魅力について、ご紹介できたらと思います。では！

3月21日、みつひデー（3・2・1・Day）に。