2023年9月初旬、熊本県の全国旅行支援事業において、助成金の不正受給と県幹部による不正隠蔽の疑惑に関する公益通報がありました。16日朝、公益通報者は蒲沢知事が示した県の内部調査に対して中止を申し入れましたが、同日午後、知事は申し入れを拒否し、内部調査を続けることを強調しました。
この疑惑は今月7日、県記者クラブに公益通報があり、熊本テレビ子会社のTKUヒューマンが扱った旅行商品販売で2000万円の助成金不正受給、さらに熊本県幹部が不正を隠した疑惑が浮上。その後、12日蒲沢知事は第3者調査機関の設置を発表し、翌日改めて、県内部で調査を行った後、第3者調査機関で調査を行うと示していました。現在、第3者調査機関は設立されていません。
公益通報者の代理人の弁護士は、県内部の調査は事実がねじ曲げられる可能性があるとし、その中止を申し入れました。一方、知事は「県庁内部のことを県が関与せずに調査はできない」と説明し、県の内部調査を続ける方針を示しました。
TKUヒューマンの親会社、テレビ熊本は2016年度から2019年度にかけて、熊本城の修理費として県に総額1億円の寄附を行いました。2019年12月、蒲島知事は、テレビ熊本主催のイベントに参加し、熊本地震に触れ、「TKUの年忘れ謝恩会ほど楽しいパーティーはない」と挨拶したことが、地元メディア「くまもと経済」に紹介されています。
全国旅行支援事業は、国が新たなGoToトラベル事業として予算を配分し、都道府県が運用した国家事業です。観光庁担当者は、「熊本のことは知っているが、県の責任で実施されていて、(GoToと異なり)国で調査することはない」と言います。熊本県内部の調査および第3者調査機関設立による疑惑の解明が待たれます。