東京地検特捜部は2024年1月19日(金)午後、自民党の二階俊博元幹事長(84歳)の事務所が過去5年間に3000万円以上の政治資金パーティー収入を裏金化し、収支報告書に記載していなかった疑いがあり、同氏の秘書を略式起訴(※1)しました。(写真: 旅の祭典ツーリズムEXPOジャパン大阪を視察する二階氏/2023年10月)
また、二階派(志帥会)は18日、2020年から3年間のパーティー収入の未記載が約1億4000万円、20年は前年からの総越額として約7400万円の計約2憶1000万円の記載漏れに関して収支報告書を訂正しました。さらに、訂正された報告書では、派閥から二階氏ほか計7人へのキックバックと疑われる約6500万円の支出額が追加されました。これに関わり、東京地検特捜部は19日午後、派閥の会計責任者を在宅起訴(※2)しました。
※1: 「略式起訴」では公判が開かれず、刑罰として100万円以下の罰金または科料が課せられます。しかし、身柄拘束が行われたり、(被疑者が会社員でも)第三者に通知されることありません。 ※2: 「在宅起訴」とは被疑者は身柄拘束されずに、日常生活を送りながら捜査が行われ、その後、起訴されることがあります。 |
二階元幹事長は、30年以上にわたって全国旅行業協会(ANTA)の会長を務め、党では大阪万博推進本部長に就任するなど、観光族議員のドンとして知られています。コロナ禍の「Go Toキャンペーン」は、当時幹事長だった同氏の手腕により実施されました。
これらから、二階元幹事長が主催する政治資金パーティーには、観光業界の参加者が多いことも推定されます。今回の事件を受けて、同氏の観光業界内での立場に影響を及ぼすのかが注目されます。
なお、二階元幹事長は来月2月17日に85歳の誕生日を迎えます。
(追記)19日(金)18時過ぎ、共同通信によると、今回、略式起訴された秘書は、「全国旅行業協会」の事務を受託する会社の社員から二階氏の秘書に転身した人物でであると報じています。その知人によると、秘書は二階氏の厳しい指示をこなし、移動時は背中にそっと手を添えていたという人物像を説明していました。
なお、秘書の略式起訴、会計責任者の在宅起訴の決定後、二階氏は派閥解散を発表する記者会見で、事件の事実を問われると、「自分は何も知らない」「政治は信頼」とコメントしていました。