岐阜県白川村は2025年3月上旬、公式観光ガイドブック「白川郷再発見」を発行した。単なる観光スポットの紹介ではなく、集落の生活環境への配慮や観光マナーの順守を促し、持続可能な観光の実現を目的としている。

白川村では、世界遺産「白川郷合掌造り集落」の人気から、近年、外国人旅行者も含めて来訪者数が急増(2024年度入り込数208万人)。約500人の住民が住む集落内では観光客のマナー違反が横行し、生活環境への影響が喫緊の課題となっている。この状況を受け、村はガイドブックを通じて適切な行動を促す方針を示した。
ガイドブックでは、村内の観光スポットやアクティビティ、宿泊者限定の景観、地域の歴史文化、特産品、食、4つのモデルコースなどを紹介。加えて、観光客に求められるマナーやルールを明示し、住民とのトラブル回避を図っている。
夜間の立ち入り禁止、火の使用禁止、私有地への立ち入り禁止など、視認性の高いアイコンやイラストを用いて説明。その下には、黄色い文字を使って「合掌造り集落はテーマパークではなく、実際に人が暮らしている」と注意喚起。さらに、交通常態に遭遇しない方法も紹介している。
ガイドブックは全35ページ(日本語)。紙版は3万部を発行し、白川村内の施設をはじめ、名古屋の県アンテナショップや、岐阜県東京事務所(千代田区)などで無料配布。白川村の公式ウェブサイトからはPDFのダウンロードも可能。
白川村によると、2023年度時点で観光客全体の約60%が日本人であったことから、今回のガイドブックはまず日本語版での発行となった。今後は外国人旅行者向けの情報提供も検討している。