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釧路市が「ノーモアメガソーラー宣言」で湿原保護の態度示す 福島市に続き全国2例目

 北海道・釧路市は2025年6月1日(日)付けで、「ノーモアメガソーラー宣言」を発出する。2023年の福島市に続く全国2例目の表明で、鶴間秀典市長が5月30日の定例会見で明らかにした。

釧路市役所

 釧路市には、希少な野生生物が数多く生息する、日本最大の湿原・釧路湿原が広がっている。周辺では2010年代初頭から大規模太陽光発電所(メガソーラー)の開発が相次ぎ、環境や地域生活への影響が懸念されていた。

 

 鶴間市長は「豊かな自然環境を守っていくために自然環境と調和が成されない太陽光発電施設の設置を望まない」と宣言。さらに、市は2025年9月の市議会において、太陽光発電施設の設置を規制する条例案を提出する。

 

 釧路湿原は、ラムサール条約にも登録される国際的な保護湿地で、タンチョウをはじめとする多様な生態系を支えている。しかし、条例整備が追いつかない中、メガソーラー建設計画の駆け込み申請が行われているのが実情だ。

 

 市の担当者は、「宣言に法的拘束力はないが、こうしたメッセージの発信を通じて、全国的な動きや国による規制へとつながることに期待している」と説明する。

大阪の事業者による大規模開発計画

2025年1月末時点で、釧路湿原周辺にはすでに561カ所にソーラーパエルが設置されている。さらに、今後、大阪に本社を置く日本エコロジーによる、約27.3ヘクタールに及ぶ新たな設置計画が明らかになり、地域住民や自然保護団体から懸念の声が上がっている。

 

 同社は、住民説明会で「私たちが最初にパネルを設置するなら景観への影響が問題だが、すでに多くのパネルが設置されており、景観はすで壊れている」と理解を求め、地元市民から反発を受けている。同社は現在、市と協議を重ね、設置場所の見直しを含めた対応を検討しているという。

釧路湿原周辺でメガソーラー事業を推進する企業群

釧路湿原周辺では、2010年代前半から複数の企業がメガソーラー事業を展開中だ。たとえば、韓国系のハンファQセルズジャパン(東京都港区)、投資ファンド系のスパークス・グループ(東京都品川区)。さらに、製紙系大手日本紙パルプ商事の子会社であるエコパワーJP(東京都中央区)などが挙げられる。

徐々に広がる太陽光発電への不信感

昨今、全国各地でメガソーラー事業に対する市民の目が厳しさを増している。最近、熊本県の阿蘇山周辺に広がる大規模なソーラーパネル群の景観破壊がSNS上で再三拡散されるなど、「新エネルギーの象徴」とされてきた太陽光発電への疑問や不信感が、徐々に世論として広がりを見せ始めている。

 

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