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【独自】観光庁、観光再始動事業385件の成果公表は検討中

栃木県は2023年10月から2024年1月まで、外国人富裕層向けに奥日光2泊3日のツアーを400万円で募集しましたが、参加希望者が現れず、結局ツアーは実施されませんでした。この件について、2月に主要なメディアが報じたことで話題となりました。

観光庁

栃木県の外国人富裕層向け高額ツアーは、「紅葉の時期に奥日光でラグジュアリーな体験を満喫するスペシャルプラン」として企画され、観光庁による昨年4月の「観光再始動事業」の2次公募に採択されました。事業では、国から最大1500万円の経費が提供される予定とされ、栃木県はその予算を2023年度に計上していました。

 

栃木県は事業への応募にあたり、地元の大手旅行会社支店に相談し、ツアーの企画と販売を委託しました。2023年秋に発表されたツアー内容は、東京都内から栃木県へのヘリコプター移動と、外資系ホテルでの滞在、旧イタリア大使館でのディナーなど豪華なもので、参加費は当初1人400万円で設定されました。発売当時、大手メディアは、インバウンド観光市場の潮流を捉えた商品としてそれを報じていました。後にツアー内容が変更され290万円に料金改定されましたが、申込者は表れませんでした。

 

奥日光ツアー事業の遂行においては、栃木県は観光庁からの支援と、ツアー企画や販売、PR、受け入れまで豊富なノウハウを持つ大手旅行会社や有名ホテルなどと連携して事業を展開していました。なお、今回の事業結果について、栃木県知事は「スケジュール管理とPRが不足していた」と説明しました。なお、栃木県が事業の準備に使った関連経費については、国から県へ支払われます。

観光再始動事業|年間5兆円超の訪日外国人消費を目指す

「観光再始動事業」は、地方公共団体や一般企業が行う「インバウンドに資する、新規性が高く特別なプロジェクト」を支援する事業で、2022年と2023年に公募が行われました。事業目標として、年間5兆円超の訪日外国人の消費額が設定され、観光資源の磨き上げだけに終わらず、事業内での販売を行うことが特徴とされていました。これらの点は、コロナ禍の経営を維持するために設けられた支援事業と異なります。

 

事業に採択されると、地方公共団体対象事業には上限額8000万円の経費、民間企業対象事業には上限額1000万円~1500万円の補助金が支給されるとして、2022年度の1次募集で139件、2023年度の2次募集で246件、合計で385件が採択されました。

 

3月中旬、よい旅ニュース通信編集部が観光庁国際観光部に採択事業者の成果を聞くと、「現在採択事業者からの実績報告を精査中。成功や失敗などあり、事業結果から得られたノウハウや事例を公表するかは検討中」との回答がありました。なお、第3次募集は予定されていません。

 

「観光再始動事業」は、既に見込まれる日本のインバウンド市場の需要に対し、採択事業を通じて、5兆円超の消費を目指して実施されたもので、コロナ禍の経営維持が目的の支援事業とは異なります。多額の予算が投入された採択事業385件の実施結果は、日本のインバウンド戦略の改善および発展に対して貴重なデータを提供する可能性があるため、事業成果は速やかに公開されることが期待されます。

「観光再始動事業」の公式サイトでは、「当サイトは2024年3月29日をもって停止し、それ以降は国土交通省のサイトではなくなる」と告知されています。

 

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