三重県は2023年10月26日、近畿日本ツーリストに委託した新型コロナに伴う観光事業者の支援金支給業務について、1130万円の過大請求があったことを公表しました。(写真: ツーリズムEXPOジャパンのグループブース)
過大請求は、2021年6月~10月にかけて近畿日本ツーリスト津支店が受託した事業者向けコールセンター業務で行われました。具体的には、実際の稼働人数よりも309人多い1078人に数字を水増したり、別業者に再委託した額を県に水増し請求したり。業務責任者が1名の契約について90日中85日は責任者を2名配置し、余計に85名分が請求されていました。これにより、過大請求額の合計は1130万円になります。
今年4月、近畿日本ツーリストは東大阪市のコロナワクチン事業での過大請求の発覚後、6月に3名、7月に1名の社員の逮捕者が出ています。全国の営業所で過大請求事案が起きていて、(刑事告訴まで行われなどしないと)、「自治体の判断で公表が控えられるケース多い」(親会社KNT-CTホールディングス広報)というのが実情です。
三重県が代弁した近畿日本ツーリスト言い分は、「業務に支障がない限り、ある程度の裁量が認められていると認識していた」と、自治体事業の受託企業として相応しくない説明がされています。なお、三重県は過大請求額の返金を受け国に返却し、業務の目的は達成され、損害はないとして、刑事告訴は行いません。
これについて10月26日、旅の博覧会「ツーリズムEXPOジャパン」で、KNT-CTホールディングス広報に聞くと、「三重県の事案は新しいものでなく、公表した課題請求額のひとつにあたり、このことでの発表は行っていない」と言います。
なお、会場のKNT-CTホールディングスのブースでは、近ツーのロゴが未掲出でした。広報は、「両方の意見があり結果的にこのようになった」と話します。理由がありロゴを出さないのであれば、考え方を事前に発表しておけば、グループ中核企業のロゴがなぜ無いのかの意味が分かります。本来、全国の従業員を含めて考慮すれば、ロゴは隠すことなく、ブース内でのプロモーションを控えた上で、来場者に事情説明する姿勢や、ブース出店を取り止めるという大胆な英断さえも、新たな企業姿勢を示せるチャンスであったかもしれません。