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群馬県、尾瀬で「入域料」検討-知事と副知事 着任5年目に尾瀬を歩いて痛感

 群馬県の山本一太知事は、2024年12月4日の定例記者会見で、「尾瀬国立公園」において登山者や観光客からの「入域料」徴収の検討することを明らかにしました。知事は着任5年目の今年、数十年ぶりに尾瀬を歩きました。(写真:尾瀬国立公園の老朽化が進む木道)

尾瀬国立公園の風景

 山本知事は会見で、前日の県議会において尾瀬国立公園の保全について質問を受けたことを踏まえ、「環境保護と観光活用の財源確保策として、入域料の導入を検討する」と説明しました。

 

 記者から入域料に関する知事自身の思いをと問われると、山本知事は「今年、数十年ぶりに尾瀬の木道を歩き、自然の素晴らしさを実感した。その魅力を多くの人に伝えたいと思う一方、施設の保全や環境の維持には安定した財源が必要だと感じた」。「尾瀬の自然を守り、恥ずかしくない環境を整備したい」と意気込みを示しました。

 

 その後、宇留賀副知事(元経産省)から「現在、トイレ利用者からのチップ(100円)を徴収しているが、集まったお金を銀行で両替する際(手数料で)半分以上が失われている」と明かしました。その上で、「入域料徴収は、既存の資金を有効活用するイメージ」であり、「金額はトイレのチップ程度」であり、観光客の減少には繋がらないと説明しました。

 

 会見中、山本知事は、「宇留賀さんも(尾瀬に)初めて行ったよね」と声をかける場面があり、知事と副知事が2019年に着任後、昨年まで尾瀬に立ち寄っていなかったことが明らかに。自然保護の課題の着手が、知事や副知事といった要職者が実際に現地を訪れなければ、具体的な対策が進まない現実が示唆されています。

 

 群馬県は今後、環境省が所管する尾瀬国立公園協議会を通じて、他の入域口を持つ自治体(福島県、栃木県、新潟県)と協議を進める予定。

 

 近年、日本では国立公園や世界遺産地域でオーバーツーリズム対策や環境保全を目的とした入域制限や利用料導入が相次いでいます。

国内における最近の入域関連制度(一部)

  1. 広島県廿日市市「宮島」:瀬戸内海公園、世界文化遺
    2023年10月、地方税法に基づき「宮島訪問税」100円を徴収開始。
  2. 山梨県「富士山」:富士箱根国立公園・世界文化遺産
    2024年夏、「山梨県富士山吉田口県有登下山道設置及び管理条例」に基づき、富士スバルライン五合目で通行料2,000円を徴収、1日あたりの登山者数4,000人に制限。
  3. 沖縄県竹富町「西表島」:西表国立公園、世界自然遺産
    2025年3月、エコツーリズム推進法を活用し、島内5エリアを特定自然観光資源に指定し、1日30人~200人の入域制限や認定ガイド同行・事前講習、手数料500円~1000円を徴収予定。

 

 これら3地域における制度は、それぞれの地域が抱える特有の課題に対応する形で、地方自治体の責任のおいて策定されています。一方で、国立公園を管轄し、立ち入り制限や拘束など権限を有する自然公園法を所管する環境省の関与は限定的です。

 

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