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大阪万博開幕を担う広報事業者の公募開始 ─ 国民機運の低下続く中(三菱総研調査)、開会式は電通が担当

 万博協会は2025年1月23日、今年4月13日(日)に開幕を迎える「大阪万博」に向け、広報支援業務を担う事業者の募集を開始しました。募集は公募型プロポーザル方式で実施され、広報活動の初期準備からメディアとの関係構築、イベントの情報の発信などを担当します。

大阪万博のイメージ図

 公募要領によると、採択された事業者は、メディアを通じた万博情報の発信を促進し、認知度向上や興味喚起を図ることで、入場チケットの販売増加や来場者の機運醸成を担う役割が与えらます。

 

 募集スケジュールは、提案書提出期限は2月13日で、その後すぐに選定委員会が開催され、受託事業が決定されます。契約は2月下旬に締結され、業務は4月30日に完了予定で、3月の開幕直前期から開幕後の約2週間にわたり、約2カ月間の業務が予定されています。

 

 委託上限額は約2カ月間の契約で上限1,820万円(税込)とされています。なお、大手PR会社が上場企業や外資系企業などと契約を行う際のPR活動フィー(月額50万円~500万円※)と比較すると高額な予算が用意されています。

※金額は、一般的にメディア対応に係わる契約活動費(人件費)を中心としたものであり、広告費やその他の仕入れ費用は含まれせん。今回の広報支援業務の応募書類に記載が求められる予算の内訳には、「危機管理広報体制の計画立案および研修の実施」「メディアトレーニングの計画立案および実施」「メディアキットの計画立案および実施」とあり、広告枠など大規模な仕入れを伴う予算内訳には含まれません。

 

 公募において、万博協会が求める企画の方向性を記した「仕様書」は一般に公開されておらず、過去20年間にオリンピックなど国際的大規模イベントの広報PR関連業務経験があるなど、一定の条件を満たして参加申請を行った事業者のみに送付されます。仕様書の交付には機密保持契約が含まれています。

 

 なお、大阪万博の開会式や万博協会主催催事の企画運営は、2024年5月に「電通」および「電通ライブ」、「NHKエンタープライズ」の共同企業体(JV)が担当することが決定済みです。具体的な内容はイベントの開催時に初めて明らかになります。

 

 電通グループには広報業務を専門とする「電通PRコンサルティング」があり、開幕目前に、同グループ内での情報共有や連携面での優位性を考慮すると、同社が電通と電通PRコンサルティングが今回の広報支援業務を受託する可能性が高まります。


大阪万博の最新調査(一般向け・企業向け)

三菱総合研究所「生活者調査」(2024年10月)

 大阪万博に対する全国的な関心は、前回調査(2024年4月)の25.6%から24%に減少。京阪神地区でも40.5%から39%に低下しました。来場の意向についても、全国平均で27%から24%に減少。京阪神地区では前回調査の43.5%から36.3%に大幅な低下が見られる一方、首都圏では22.3%から22%で横ばいでした。

 

 大坂万博開催を目前に生活者の関心と来場意向が低下する中、来場予定者の中で、特に20歳~29歳の若年層で「2回行く」と回答した割合が15.2%から29.4%に増加しました。

産経新聞社「主要企業111社」(2024年11月中旬~12月上旬)

 調査対象の企業の7割が大阪万博に「期待する」と答えました。「景気浮揚」(60.7%)や「技術発展への貢献」(56%)、「国際社会での日本の存在感向上」(56%)が期待されるポイントとして挙げられます。一方で、問題として「国民の機運醸成」(64%)、「チケットの販売促進」(34.2%)、「収支の黒字確保」(29.7%)が挙げられていました。

■機運醸成予算40億円とその課題

 大阪万博の機運醸成には、総額40億円以上の予算が確保されています。しかし、開催を目前に控えている中で、期待された効果は現れておらず、膨大な予算が「砂漠に撒く」状況が続いています。

大阪万博機運醸成国家予算
大阪・関西万博に関連する国の費用(内閣官房・経済産業省

 

 約2か月間の契約で上限1,820万円が設定されている広報支援業務において、受託企業には国民の関心を大幅に高め、来場意向を急上昇させることが求められます。そのため、どのような戦略で効果的に機運を高めていくのかが注目されます。

 

 なお、有力な広報支援事業者となる電通は、東京五輪の不正問題による入札参加禁止から2024年2月に復帰しました。その後、大阪万博の事業において、開会式の運営、入場チケット販売促進、半年前イベント実施、メディアセンターの運営、メディアプランの策定、開幕レセプションの実施など、開催機運の醸成に係わる広報PR関連業務に携わり、確定総受託額は約40億円以上に達しています。さらに、協賛募集業務の出来高による手数料も加算される見込みです。

 

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