万博協会は2024年5月31日、大阪万博の開会式関連事業の公募を通じて、広告大手「電通」が参加する共同企業体を最優秀提案事業者として発表しました。2024年度に入り、東京五輪談合疑惑で入札参加停止処分を受けていた広告大手各社の入札停止が解除され、万博事業を受託しています。(写真中央:電通関西支社が入居するタワービル)
大阪万博開会式関連事業の正式名称は「大阪万博の開会式並びに主催者催事に係わる計画作成及び運営業務」で、電通と電通ライブ、NHKエンタープライズの共同事業体が最終選定されました。提案事業者は2社で、落選したのは博報堂でした。
2024年4月30日付 大阪万博、開会式運営の事業者公募開始-中抜き抑制対策は限定的、電通本体は2月入札参加解禁(※) |
電通などは、2025年4月13日の万博開会式と開幕後の主催者催事の運営を担当することになります。同事業の公示では委託上限予算は9億6594万8500円とされ、電通の共同事業体は提案額は9億6594万1900円でした。今後、電通などは万博協会と契約を締結し、万博協会などが策定した基本計画に基づき業務に携わります。
電通は4月にスポンサー獲得業務で復活、その他広告大手も続く
電通は東京五輪での談合疑惑で、2023年2月10日~2024年2月9日まで大阪府市の入札および万博協会の入札参加が停止されていました。電通は入札参加が解禁された後、万博協会の「万博主催者等協賛プロモート委託事業」で、4月24日に評価点第1位で3社の最終契約者に選定されました。
評価点第2位は広告大手の東急エージェンシーで、同社も東京五輪の談合疑惑で昨年度は入札参加が停止されていました。評価点第3位は広告業界以外から意外な日比谷花壇グループが選ばれました。今後、この3社は主催者催事や開閉式の協賛企業を獲得する業務を担当します。なお、広告大手の博報堂は公募に参加しませんでした。
東京五輪ではスポンサー契約に関連する汚職事件が起き、広告大手のADKと大広の幹部が起訴されるなど、大型イベントにおいて広告会社がスポンサー獲得業務に携わることの重要性が浮き彫りになりました。
なお、博報堂は、2024年2月29日まで大阪府市および万博協会の入札参加が停止されていましたが、入札停止の解除後、5月28日に「大阪万博テーマウィーク全体運営事務局およびアジェンダ2025主催プログラム実施業務」で応募者3社から最終契約者候補に選出されました。委託上限予算は6億9700万円でした。
電通と博報堂は大阪府市と万博協会の入札参加が停止されていた期間は、両社のグループ各社が大阪府や万博協会の公募に参加し、各種事業を受託していました。