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【旅レポ】2日目能登町の歩き方(後編)|釣りと夜のイカキング探訪

能登町の旅レポート(後編)です。(前編)では行き先が能登町に決まったこと。(中編)では能登町宇出津(うしつ)地区での滞在についてご紹介しました。(写真: 夕方の能登町小木港)

小木港の景色

中編)では、能登空港から能登町の宇出津での滞在について紹介しました。今回は能登町2日目、宇出津から移動します。

能登町2日目の朝

能登町2日目。朝8時から“ちょうどよい朝食”を堪能した後、すぐ宿の前で釣りをします。この時、特に何かを釣り上げたいという意気込みはありません。釣りを楽しみながら宇出津港に停泊している漁船や、港越しに見える集落や里山の素晴らしい景色を、別れを惜しむように目に焼き付けます。

民宿ふわ

能登町 宇出津港

能登町の宇出津港

また必ず来ます!について

旅先を離れる際に「また必ず来ます!」と宣言することはありませんか?その瞬間には、本当にそう思っていることでしょう。しかし、時間が経つとその約束を果たせていないことがほとんどではないでしょうか。愛着を持った土地を再び訪れたいと思いますが、他にも行きたい場所はまだまだあります。この繰り返しにより、再訪を願いつつ訪れることがない土地の思い出ばかりが、次第に積み重なっていきます。

 

「また必ず来ます!」という言葉が、実はもうその土地を訪れることがないかもしれない無意識の認識と、それに伴う寂しさを誤魔化すための言葉だと気づいた時から、その言葉を言わなくなりました。今そのことに思いを馳せると顔が赤く染まっています。話を戻しましょう。

 

宿を9時30分にチェックアウトし、昨日立ち寄った「コンセールのと」のバス停へ向かいます。停留所は能登町役場前です。今日は、路線バスで宇出津から約20分の小木(おぎ)地区へ行きます。バス停に向かう途中、町並の風景を写真に収めながら歩きましょう。

能登町 宇出津港

能登町 宇出津港

能登町 宇出津港

能登町 宇出津

宇出津のスーパー
能登町 宇出津
地元スーパーの優しいサービス「お買い物バス」

路線バス停留所の出来事

バス停には9時45分に到着しました。予定のバスの出発時刻は10時45分で、まだ1時間の余裕があります。早めの到着は意図的なものです。旅先でバスを待つ際は、パソコンでもスマートフォンよりも文庫本がより適していると感じています。

 

気がつけば時計は10時50分を指していました。壁一枚隔てた向こうで、予定通りにバスは出発していたのでしょう。何かに追い立てられるようにバス停へと駆け出すも時は既に遅し。ここはインドではありません。顔をしかめて時刻表を確認していると、別のバスを待つおばあさんが声をかけてきました。どうやら今回の旅はおばあさんと縁があるようです。

 

おばあさんは、「バスを待っているけれど来ないのよ」と言います。彼女の行先を尋ね、時刻表を確認し、待っていたというバスの出発時刻が記載されていることを見つけましたが、その日は土曜日に運休することが注記されていました。

 

おばあちゃんにその情報と次のバスの時刻を伝えました。次のバスは2時間後でした。おばあちゃんががっかりするかと思いましたが、彼女は驚くほど落ち着いて、「そうだったのね。時間を潰して待ってみるわ」と余裕な構え。記者Oは、「そうですね、そこにカフェもありますし」返事をしてしまいました。お互いミスした同士ですが、焦る旅行者と地元のおばあさんとの間には顕著な対照がありました。

コンセールのと

能登町 宇出津

能登町 宇出津港

小木行き次のバスの出発時刻は12時42分で、約2時間待つ必要があります。時間の限られた旅行者は急ぐ必要があります。そこで、近くに停車していたタクシーを使って小木へと向かうことにしました。

イカ騒動

小木は全国有数のイカの水揚げ地です。能登町では、イカ利用した町おこしや観光誘客の取り組みが行われています。年に1度、万人以上が集まる「イカす会」が開催されます。また、小木から近くにある九十九湾のほとりにはイカをテーマにした観光施設「イカの駅つくモール」があり、2020年4月に開館しました。

 

昨年4月、この施設の敷地内に、能登町長の鋭い読みにより?巨大なイカのモニュメントが設置されました。この予算として、国のコロナ地方創生臨時交付金2,500万と、町費500万が投じられたことが話題となりました。コロナ禍、このような出費は、無駄遣いや不謹慎だと批判があり、専門家からも厳しい意見が出されていました。

海外メディア報道で注目度アップ

まず、国内メディアはネガティブ気味に報道しました。しかし、その後、英国BBC米国ニューヨークタイムズなど海外メディアが肯定的に取り上げると、状況が一変しました。突如、巨大イカが世界的な注目を集めることになり、その報道を受けて海外メディアが取り上げたと報じる国内メディアが出てきます。この一連の流れは魔法のようなPRの必勝パターンです。巨大イカは能登町の経済効果に貢献しはじめました。町では、経済効果算出アドバイザーの募集するに至りました。コロナ禍、観光客が減少する中、巨大イカはすでに町のシンボルとして定着しています。

観光スポットのとらえ方

小木で何をするかと言えば釣りです。能登で観光してないと言われそうですが、本人にとってはまさに観光の真っ最中。能登町はまるごと観光地です。町全体がテーマパークのようで、各所のアトラクションを巡る感覚です。テーマパークの入口と出口が空港というわけです。いつもこのような意識を持って、釣りに、いや旅行に出かけています。

 

能登町に来るまで、アトラクション小木について、地図で見かけていましたが、訪れ訪れる予定はありませんでした。小木に興味を持ったのは、前の記事で紹介した空港からのタクシーのドライバーさんから「釣りをするなら小木港」「小木港のつり具屋の里磯で情報収集」とアドバイスを受けていました。
さらに、「里磯が渡船している沖堤防に渡れば、大物が釣れるかも」とも聞きました。それを聞いていなければ、まだ宇出津にいるか、今晩の宿泊地の九十九湾に向かっていたことでしょう。

つり具「里磯」に到着

内浦の景色をゆっくり走るタクシーの窓から眺めつつ、約15分で小木港に到着しました。タクシーを降りるとすぐに、料理店「一番舟」が目に入ります。この店は、空港タクシーのドライバーさんと今乗ってきたタクシードライバーさんからも「小木で夕食を取るなら、一番舟」とレクチャーを受けていました。前の記事から読んでいただいている方は、今回の旅は、能登空港のふるさとタクシーのドライバーさんのおかげ成りたっています。 里磯は、一番舟から少し歩いたところですが、店を確認するためここで降りました。

 

 3分ほど歩くと、つり具「里磯」に到着。店に入り、来店の経緯を店主に話すと、店主は笑顔を見せました。これがいつもパターンなのかと想像をしながら、笑みで応えました。これはいったい何のやりとりでなんでしょうか。

能登町 小木港の釣り具 黒磯

 

店の壁の掲示された情報に目を通すと、沖堤防への渡船について書かれています。その堤防は「小木港東一文字」と呼ばれています。渡船料金は往復で1,800円。港からだと10分で到着します。定時運航ではなく、希望者が来たら渡船してくれます。帰りは堤防から電話して迎えに来てもらえます。とても便利なシステムです。利用予定者は、念のため事前確認してください。

小木港東一文字へ

店から借りたライフジャケットを着て、沖堤防へ向かいます。船首近くを陣取りました。というか乗船は1人ですが。小型船での航行は、目線が海面近く、迫力満点です。天気も良く、心地がよかったです。ぜひ動画で疾走感を体験してください。

 

堤防には先行者がいません。その長さは約250m、横幅も十分ありますが、海面からの高さがあるため、中上級者向けの堤防です。その日、堤防の上は強風が吹いていました。大物を狙えるポイントで釣りをしていましたが、風で釣りにくく少し恐怖心がありました

 

そこで、堤防にある階段下へ移動しました。その場所で立て続けにベラを約10匹釣りあげました。どれだけでも釣れそうな活発な反応がありました。ベラは写真に収めていませんので、証拠を示すことはできませんが…。普段、外道扱いさる魚ですが、ここで釣れるベラのサイズが大きく、釣り応えがありました。

小木港一文字堤防

 

1時間が経つと1人が堤防にあがってきました。狙いはアオリイカです。その人は能登在住で、この堤防に通っているそう。やはり大物が釣れるポイントとして知られているとのことで、釣り談義を楽しみました。

 

強風で空だが冷え切り疲れました。実釣2時間ですが、これで納竿することにします。釣りの本命は高級魚のハタでしたが、残念ながら完敗でした。里磯に電話をかけると、すぐに迎えが来ました。

 

陸に戻った後、里磯の女将さんと、今晩泊まる宿「一水」について話していました。そうしていると、「一水まで送るよ」と言ってくれました。とてもありがたい言葉です。ご主人が船の整備から戻ると、女将さんが「一水に送ってあげて」と伝えました。ご主人は「一水ね」とひと言。このやりとりはとても自然で温かいものでした。しつかり感謝を伝えながら、自然な態度で車に乗り込めました。写真は里磯前の風景です。

能登町 小木港 黒磯前

約5分で九十九湾に到着しました。さすが、日本百景を冠する場所にふさわしい絶景です。静かでまるで湖のようです。紅葉も見ることができます。その日の宿は、九十九湾のほとりにある「民宿一水」です。宇出津にある民宿ふわと同じように、一水も海から数メートルのところに建っています。玄関の前の九十九湾は、まるで庭のようです。

 

能登町 九十九湾

九十九湾とイカの駅つくモール

すぐそこに「イカの駅つくモール」がありました。施設の横には、あの巨大イカのモニュメントがドーンと設置されています。土曜の夕方で人出は少なめでした。「リアルで思ったよりも大きい」というのが印象です。施設内にはレストランもありますが、既に閉店していました。施設内の見学と食事は、明日の楽しみです。

能登町 イカの駅つくモール

能登町 イカキング
全長9m高さ最大4mのイカのモニュメント(愛称:イカキング)

九十九湾あたりとか宿とか

九十九湾入り口の付近には、イカの施設や宿があり、幹線道路沿い散在する住宅以外には自然が広がっています。商店もありません。幹線道路には街灯が設置されていますが、夜は真っ暗になりそうな場所です。

 

宿にチェックイン後、部屋から九十九湾を眺めました。宿は大きな2階建ての日本家屋で、昨日に宿泊したふわより大きそうです。建物自体は古いですが、部屋や廊下の保守や清掃が行き届いて、安心感を得られまます。これが能登でよく見られる光景であり、能登の人々の特徴でもあると思うようになりました。

 

その夜は素泊まりで、夕食を取るために小木の「一番舟」まで徒歩で戻りました。距離は約1.5kmで、長いトンネルを通って山を越えます。しっかりとした歩道がありますが、あきらかに法定速度を超えて飛ばしてくる車が来るため、背後に注意が必要です。

小木に戻って

のんびり約30分かけて小木に到着しました。少し前まで滞在していた場所に戻ると、心の中で「おう、戻ってきたぞ」呟き、先輩のようになります。港と幹線道路に挟まれた住宅街にあるスーパーに買い出しにいきました。その後、周囲の日が沈みかける中、港沿いをゆっくり歩きます。

能登町 小木地区

 

一番舟の傍には、昼間には見かけなかった大型のイカ漁船が停泊しています。長い遠征ができそうな立派な船で、イカ捕獲用の仕掛けを積んだイカ戦艦のようです。この船の乗組員はきっとイカ御殿を建てていることでしょう。

能登町 小木港のイカ釣り漁船

能登町 小木港のイカ釣り漁船

イカ漁船を通り過ぎると、老夫婦が釣りをしていました。バケツをのぞくとアジやイワシが入っています。本人の自宅はその目に前にあり、奥さんが魚や道具を運んでいます。聞くと「今日はあまり釣れない」「魚を餌にしてアオリイカを釣る」言います。

 

アオリイカは若い世代には疑似餌(ルアー)釣りがかなり流行っていて、そのイメージが強いですが、地元のご年配は伝統的な生魚を餌にした釣りを続けています。地方の年配の釣り人の多くは、釣りは趣味ではなく日常の一部と考えています。釣った魚は食卓のおかずにしたり、漁協関係者に買い取ってもらったりすることもあるそうです。

小木港

お世話になった里磯を訪れ、渡船と宿への送迎のお礼を伝えます。その際、ちょうど釣り人が持ち込んできたメジナを計測していました。里磯でメジナダービーが行われているようです。今計測しているメジナが40㎝ほどあり、トップに立ったと言います。

 

明日の釣りに使用する青イソメを購入します。里磯が販売されている青イソメは、ほ品質が高く、ごつくて適度な長さ。何より、そして活きが良い。これは丁寧に管理されてそうです。青イソメが岩イソメのレベルでしかも動きが良いと言えば、分かる人は分かるはずです。宿に戻ってから青イソメの容器を開けて観察することになりそうです。

黒磯

一番舟の夕食を

いよいよ、一番舟に向かいます。観光客目線だと一番舟というネーミングから漁師料理=魚介類っぽく感じますが、一番船は港で働く漁師や地元の方々の為の料理店です。メニューは、定食や丼物が定番です。

 

メニューを見て、昨晩ふわで食べたカキフライを思い出しました。まずはカキフライと冷やっこ、そして生ビールを注文します。牡蠣の産地である能登で味わうカキフライは別格です。

 

次に、メインディッシュとして鍋焼きうどんを注文しました。グツグツ煮え立ち熱々鍋がやってきます。湯気でメガネが曇っちゃいます。甘味とコクがある白味噌のスープ特徴です。スープがうどんに絡み、甘味が広がります。モチモチした麺は身も心も温まります。食材の質が高く、調理や味付けが巧みなため、料理が美味しいです。

能登町 小木港の一番舟の牡蠣のフライ

能登町 小木港の一番舟の鍋焼きうどん

能登町 小木港の一番舟

路線バスか徒歩か

食事が終わると、時刻は19時でした。コロナ禍のためお店は20時に閉店でした。店の前にはバス停があります。次のバスは最終の19時34分で、30分待ちです。歩いて帰ることも考えましたが、夜のトンネルは少しビシビシ感じます。それでも余裕ですが、まぁ、急ぐ必要もありません。朝乗り損ねたバスに乗りたいという気持ちを満たすため、バスを待ちます。小木湾の岸壁の向こうの見えない海を見てバスを待ちました。

乗車マナー

19時34分にバスが到着しました。小木港を左手に、幹線道路の向こうからやってくる路線バスはカッコ良かった。乗車時、「すみません、近いんですが九十九湾で降ります」と伝えます。能登の路線バスは、降りるバス停の事前申告制が採用されてるからです。これは冗談です。降りる時にはボタンを押しました。

 

バスは、歩いてきたトンネルとは別のトンネルを通ります。前者は小木と九十九湾を結ぶ新しい直通ルートです。バスは、狭い住宅エリアを抜け、九十九湾奥沿いの金沢大学海洋研究所停留所を過ぎて5分ほどで九十九湾入り口に到着しました。

夜のイカキング探訪

バス停留所は、旧のと線「九十九駅」の旧駅舎の前辺りです。そこから宿に向かうと目に飛び込んできたのが、例の巨大イカのモニュメントのナイトバージョンです。驚きました。常備灯が巨大イカを照らしていますすが、周辺は真っ暗です。その中で、巨大イカが煌々と光っています。良い意味でシュールでデラックス!「能登町長、やるじゃん!」という言葉を使わざるを得ません。

 

その時、何か動く気配を感じました。一瞬血の気が引きます。何かが巨大イカに隠れていて確認できませんでした。なお、他には観光客らしき2人組が写真を撮っています。こちらの存在を確認してか、撮影が加速します。20代前半位の若い2人にプレッシャーを与えてしまい、2人に撮り忘れがあったらもかわいそうです。

能登町 九十九湾のイカの駅つくモール

能登町 九十九湾のイカの駅つくモールのイカキング

少し近づいて、「すぐそこなので、ゆっくりどうぞ。」と声をかけました。「ありがとうございます!」と感謝されました。季節外れの情景、能登半島の日本百景、夜の九十九湾の畔で煌々と光る巨大イカが中心に、即座の判断で若い2人から感謝されました。

 

しばらくの間、撮影が続いた後、2人は車で去りました。次はそこにいる髪が長く、白いワンピースの女性の番です。イカは周囲360度から撮影できるので、意外にも時間がかかります。撮影を終えた時、現場は1人だけになっていました。夜の巨大イカ。怖がりの人は2人以上で撮影しましょう。

能登町 九十九湾のイカの駅つくモールのイカキング 

 

夜だと全く見えない九十九湾を感じながら巨大イカを堪能しました。宿に戻り、お風呂に入りさっきのことを考えながら、11時頃に就寝しました。青イソメの観察は控えました。この記事には一部、フィクションが含まれています。

 

ここで今回の「よい旅レポート」を終わります。第4回目の「よい旅レポート(完結編)」は、能登3日目、いよいよ最終日です。

 

 

令和6年の能登半島地震で被災された全ての方々に深い哀悼の意を表します。この大変な時期に、被災者支援と復興に尽力されている方々への敬意を示します。2021年に訪れた能登町の記憶が蘇ります。被害を受けた地域への速やかな復興を願っています。能登の魅力を再び多くの人に伝えたいという思いは変わりません。この記事を通じて、当時の能登町の姿を伝え、応援する気持ちを共有したいです。

※この記事は2024年4月9日に一部改編しました。掲載情報は2022年1月20日時点のもので、現在の情報を異なっている場合があります。

 

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