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【旅レポ】10年ぶりの能登半島|その目的地と理由!?(中編)

この記事は、観光ガイドというより記者O個人の旅路をつづるものです。
紹介している地域に限りません。読んだ人が次の旅に行こうと考える気分になってもらえれば幸いです。
(写真提供:石川県観光連盟)

のと里山空港

 前編は、当サイト初の旅レポートの行き先が石川県能登になる成り行きを紹介しました。今回は、能登の目的地の説明から始めます。

目的地と理由

 能登は、日本海側線で最も大きい半島で行政区は4市5町あります。半島は、富山湾に面する「内浦」、日本海に面する「外浦」。半島先端から「奥能登」「中能登」「口能登」、と呼ばれています。

 

 今回、能登半島の地図に投げたダーツが刺さったのは内浦・奥能登の「能登町」でした。人口は約1,500人ほどでしょうか…真顔すみません(笑)。ふとテレビ番組のことを思い出しました。

 

 能登町に行くことは決めていました。理由はYouTubeの釣り動画を観て行きたくなったポイントが能登町だったからです。最近、密にならないソロフィッシングに嵌ってるので、釣りを兼ねた旅にしようと考えました。業界用語で遠征と呼びます。最近遠征したとかしていないとか言い合います。硬いニュースサイト初の旅レポの目的地が、記者O個人の趣味で決まるのもどうかと。少しは役立つ観光情報も紹介してゆきます。

 

のと里山空港ふるさとタクシー

 昨年11/17、ANAのトク旅マイルで航空券を手配。翌々日の11/19午前、記者Oは「のと里山空港」に到着しました。搭乗便は羽田8:55発/能登9:55着です。到着ロビーに出ると前日予約した「のと里山空港ふるさとタクシー」の受付があります。係に予約したことを伝えるとタクシーのチケットを手渡されました。「停車しているタクシードライバーにこれを見せて下さい。」と言います。10年ぶりに能登の人の声を聞きました。柔らかく耳当りが良い感じ。当時の印象と同じです。外に出ると、「ふるさとタクシー」が並んで停車しています。

 

のと里山空港ふるさとタクシー

のと里山空港ふるさとタクシー

片道無料キャンペーン実施中(3/15まで)

 ふるさとタクシーは、飛行機利用者のための2次交通です。予約乗合い制で定額かつ低料金で利用できます。運航区間は、空港と能登半島の5ゾーン7地区の間です。各ゾーンで営業しているタクシーやバス会社が車両を出しています。前日までに区間を担当している会社に電話かネットで予約します。

 能登町は「恋路観光バス」が担当です。ずいぶんロマンティックな社名と思いきや、町内に「恋路海岸」という観光スポットもありました。名の言われは、その昔、恋に落ちた若者2人の物語が残っている海岸だとか。

 乗車料金は大人900円から2,100円の間で4つの料金が設定され、行き先のゾーンと地区によります。小学生以下は半額です。この料金で十分お得ですが、3月15日(火)まで片道無料キャンペーンを実施しています。能登町の場合、本来900円ですが無料でした。

能登空港から2次交通

 もし一般タクシーだと空港から能登町役場間の料金が、ナビタイム検索で9,270円でした。かなりの差です。他に金沢から空港を経由し能登町に向かう特急バスもあるそうですが、利用しにくいと聞きました。
 結論として、能登町に限らず空港から半島内各地に向かうのは、ふるさとタクシーの一択で良さそう。中能登の「和倉温泉」方面なら空港から路線バスで、のと鉄道「穴水駅」に移動して、鉄道で沿線各駅に向かう「能登空港連絡切符」(510円・820円)があります。ローカル鉄道の雰囲気を味わいたい人に良いでしょう。

 

 レンタカーは空港に3社ありますが予約し難そうです。旅行前1社に確認しましたが、2週間前に予約が埋まっていたとのこと。今、思い出しましたが10年前、空港でレンタカーが借りられずわざわざ金沢まで借りにいった記憶もあります。能登に限らず、今週のトク旅マイルを利用するとレンタカーの手配が難しくなるケースは多いです。

宿泊エリア

 能登町は、内浦に沿い南から「瑞穂・里山」「鵜川・三波」「宇出津」「九十九湾・内浦」、内陸の「柳田」。この5エリアに分かれています。
 記者Oが宿泊するのは、初日が町の中心街「宇出津(うしつ)」。2泊目が日本百景の「九十九湾・内浦」です。

能登町へ出発

 ふるさとタクシーに乗り込みます。乗客は記者Oのみ。ステーションワゴンの車内は広くて換気も行きとどいています。
 道中、ドライバーさんに町の情報を聞くと色々教えてくれます。車中で教えてもらった情報はフル活用させてもらいました。

のと里山空港ふるさとタクシー

 

 25分ほどで宇出津の中心にある複合施設「コンセールのと」に到着しました。ドライバーさんにお礼をして車を下ります。辺りは誰一人歩いていません。施設は、旧能登鉄道「宇出津駅」(2005年3月廃線)の跡地にあります。能登町役場の庁舎(平成元年9月竣工)の隣でもあります。建物が綺麗なので最近建ったのかとスタッフさんに聞くと、意外にも開館は2014年とのこと。手入れや清掃が行きとどいているのでしょう。

コンセールのと
コンセールのと

 

 ふるさとタクシーは、指定ゾーンの幹線道路近辺なら希望の場所に降ろしてもらえるようです。私の宿は施設から車で3分ほどです。しかし、チェックイン時間前なのと、到着早々パソコン作業をする必要がありました。そのことをドライバーさんに話すと案内してくれたのが、「コンセールのと」です。ノーマークでした。たまに、能登町在住のフランス人がパソコン作業しているとも教えてもくれました(笑)

コンセールのと

 施設内は、特産品販売エリアと観光案内所、町民向けの図書館と会議室があります。少し出会いを期待したフランス人は見当たりません(笑)。特産品販売エリアにカフェカウンターがあります。スタッフさんにひと言声かけ、お茶しながらパソコン作業をさせてもらいます。珈琲とフレンチトーストのセット(500円)を注文しました。ひと仕事終えると13時30分になっていました。フレンチトーストは、その日2回目の朝食でしたが、もうお腹が空いています。

 

コンセールのと
コンセールのとカフェ
コンセールのと パンケーキ
コンセールのと 能登の潮

町の食堂「茂平食堂」へ

 ドライバーさんに勧められた町の老舗食堂「茂平食堂(もへいしょくどう)」に向かいます。施設から3分ほどで宿に向かう途中です。
 町中の老舗食堂という肩書は、記者Oにとって絶景スポットにも引けを取らない観光資源です。

 

 道沿いに期待できそうな雰囲気を醸し出す食堂が現れました。店頭のショーケースのサンプルを見学して入店します。メニューは、うどん・そば・ラーメン・洋食があり品数豊富です。メニュー写真の掲載は止めておきますがうどん・蕎麦(20品)、ラーメン(9品)、丼・カレー等ご飯類(22品)、一品料理(20品)、セットメニュー(6品以上)があります。営業しながら小まめにメニューを追加してきたのだろという印象を受けます。

 

茂平食堂
茂平食堂

 

 記者Oは、エビヒレ盛り合わせとご飯と漬物、味噌汁のセットメニュー(1,400円)を注文しました。今日は朝食を2回食べ、夕食のことも考えると大丈夫かなと思いましたが、このチョイスは大正解でした。
 エビもヒレカツもジューシーで衣が軽くサクサクです。フライと能登の新米を頬張りペロッと平らげます。白味噌の蟹のお味噌汁も甘くて美味しい。お腹が満たされました。

 

茂平食堂
エビヒレフライの定食

 その時、お隣の女性がカレー蕎麦を食べていました。確かドライバーさんがカレー蕎麦を勧めていたようなしかし、あのメニューを目の前にすれば、自分で料理を選びたくなります。

宿選び

 時刻は14時30分。食堂を出て宿に向かいます。今晩の宿は、内浦のリアス式海岸から内陸にくい込む「宇出津漁港」沿いの「民宿旅館ふわ」です。能登町役場が運営する「能登町観光ガイドNOTO」で見つけた宿です。グーグルの航空写真で海辺の位置を確認。電話して予約しました。

 

 記者Oは、釣りを絡めて旅行する時の宿選びは、まず地域の公式観光サイトで目ぼしを付けて航空写真で位置を確認します。海沿いにあり(できれば徒歩数分内)、海辺の堤防やテトラの大小や形状、海底の地形を確認します。グーグル航空写真で大体分ります。

町中歩き

 民宿ふわに向かう途中、町のメイン通り「宇出津漁港線」を歩きます。町家造りの商屋がぽつりぽつり建っています。通りは清潔感があり、新しを感じます。メンテナンスや掃除が行き届いているのだろうと考えながら歩きます。後日、「町で何かをしている訳で無い。地区の各班が、日常から清掃や建物の保全意識が高い。」(能登町役場)と聞きました。初めて訪れた土地で清潔感があると印象が良くなります。

 

 宇出津漁港線を進むと、途中で住宅街に向かう側道に入ってゆきます。直後はまだ宇出津漁港線ですが、少し歩くと「内浦街道」になります。内浦が街道の名称になっています。そのまま進むと一般住民の町家が目立ってきます。

 

能登町宇出津漁港線
能登町宇出津漁港線
能登町宇出津 内浦街道
能登町宇出津内浦街道

民宿ふわ

 食堂から10分ほど歩き民宿ふわに到着しました。建物は、軒先が幅広い立派な町屋造りです。木材の焦げ茶の色味が綺麗に定着しています。玄関から声をかけると30代ほどのご主人が出てきました。宿泊者の玄関は別にあるらしく、案内されて移動した時に目に飛び込んできたのが宇出津漁港です。その日、能登町に到着して初めて海を眺めます。シズル感のある海です。漁港越しに見える集落と里山も景色も素晴らしい。うずうずしてきます。早くタックルを準備して釣りがしたい。

ふわ
 宇出津漁港

 

 宿泊者の玄関は、内浦街道の反対でした。内浦街道と漁港に沿う通りが平行していて宿の建物が街道と海に面していました。だからとても奥行きのある建物です。

 

 宿泊代金(1泊2食7,700円)を支払い、夕食時間を決めてから部屋に案内してもらいます。部屋は6畳和室に2畳ほどの板の間がありました。釣り道具は板の間に。他の荷物を部屋の座りの良い場所に置いてゆき、今晩の住処を整えます。次はパソコンを開いてメールをチェックします。記者Oはスマホにメール転送していません。メールを処理しておくと気分を楽に釣りに出かけられます。

いよいよ釣りを始めます

 タックルをセットして海に向かいます。漁港の船溜まりに沿い歩いていくとセリ場があります。その傍の堤防で釣り始めます。このような場所に魚が集まっているはずです。第1投目、ワームを投げると早速ぼこんいう妙なアタリが。ぐいぐいと引きませんが、重みがあります。引き上げるとタコがくっ付いていました。写真を取ってリリースしました。

 

能登町宇出津

 

 それ以降、何度もアタリますがヒットしません。魚影の濃さを感じるので飽きません。日頃行く東京湾、相模湾でもこうはいきません。感覚的には10倍魚影が濃い感じです。釣り上げられないのは別の話で。
 1時間ほど経ちました。暗くなる前に町中を歩いておこうと考えた時、ガツンと強い手ごたえがありました。ワームをひったくる感じです。釣れたのは40㎝あるエソという蛇顔の魚。小骨が多く食べ難い魚で、釣り人から外道扱いされがちです(苦笑)。
 手応えを楽しませてくれた、エソに感謝してリリースします。記者Oは、基本的に釣った魚は高級魚でも何でもリリースしてしまいます。

 

能登町宇出津

 

 その時、お婆ちゃんが話かけてきました。なんでも記者Oが釣りをしているのを見ていたそう。ここで釣りをしている人は珍しい、1週間前に見た以来と言います。直ぐ打ち解けて、能登町のこと、コロナのことなど10分ほどお喋りしました。いつの間に地元住民の生活圏に入っていることがあります。その時、偶然始まる会話も旅の楽しみ一つです。

暗くなる前の散策

 宿にタックルを置いて町中を散策します。漁港の船溜まりに連続して停泊する小型漁船を眺めながら歩きます。漁港の突き当りにある「いやさか広場」という芝生の公園に到着しました。そこから眺める港の景色が素晴らしいこと。広場に将棋の駒に似たコマがあり、ボードゲームの「ごいた」が宇出津発祥だという記念碑があります。明治時代に考案されたという、ごいたを初めて知りました。

 

宇出津漁港

宇出津漁港

宇出津漁港

少年とメジナ

 広場と海が接する小さな船溜まりで少年2人組が釣りをしています。そこに散歩中のおじいちゃんが加わり、釣りの話をしているようです。記者Oは、後ろから話を盗み聞きしている状態。地元のおじいちゃんと子供の会話も聞くのも観光です。盗み聞きして立ち去るのも具合悪いので話しかけてみます。

 

 少年は2-3分であっという間にアジとメジナを釣り上げていました。記者Oが「上手いねぇ。」と声をかけると、少年は「メジナは塩焼きが美味いんだよ。」と胸を張ります。旅行者だと分かった様子。ただ正確に意思疎通できていたかは分かりません(笑)。それは重要でもありません。そのまま話を聞きます。普段からメジナは食卓で食べていること、町のスーパーでも売っていることを教えてくれました。後でスーパーの鮮魚コーナーを覗くと、朝獲れの札が付いている30㎝ほどの立派なメジナが並んでいました。都内スーパーでメジナは見かけたことがありません。

 

宇出津漁港

宇出津漁港

宇出津漁港

 

 地元の少年にメジナについて教えてもらうことも旅ならではです。まだ明るいので、町を歩いてみます。

 

宇出津漁港

宇出津

能登町宇出津

宇出津

 

民宿の夕食

 空が暗くなってきました。そろそろ夕食の時間なので宿に戻ります。19時なので夕食の部屋に入ります。20畳以上ありそうな大きな部屋です。先に男性1人が食事とお酒を楽しんでいます。その後で女性1人が加わりました。全員1人でした。十分なソーシャルディスタンスが取られています。各自、黙々と食事を食べます。以前なら、挨拶や多少の会話もしているかもしれませんが、今はコロナの空気感もありますから、そういう行為はし難くなります。テレビが付いていたので、皆気にせず過ごせたと思います。

その土地が知りたければ、その土地の民宿で夕食を食べろ。

 釣りで遠征する時、記者Oは港町の民宿を利用します。宿の場所は漁港近くを狙います。直に釣りができて町中も近いからです。
 宿泊初日はできるだけ宿の夕食をお願いします。泊食分離なんていう言葉もあるように素泊まりと外食も人気ですが、民宿の醍醐味は夕食にあると思っています。

 

 誰か忘れましたが作家が、「その土地を知りたければ、その土地で〇〇しろ。」と書いていたことを思い出しました。記者Oは、「その土地が知りたければ、その土地の民宿で夕食を食べろ。」と言いたいと思います。夕食はとても満足しました。新鮮な食材。食材にあう調理と味付けが抜群です。ヤリイカの口ばしは、ヤバいくらい酒にあいます。

 

民宿ふわ
(左上から)カキフライ、地魚の刺身(ふくらぎ・イカ・メバル・アジ)、白味噌の鍋物、キノコと大根おろし酢の物、山菜の漬物、ヤリイカの口ばし、タラ西京焼き、能登米のご飯

余談

 夕食後、性懲りもなく夜釣りに出かけました。しばらく釣り進むと、携帯の電源が切れ。なぜだかソワソワしてきます(汗)。釣りにスマホは必要ありませんが(苦笑)。辺り暗闇の中、懐中電灯と遠くの灯りを頼りにそそくさと宿に戻ります。宿に戻り、お風呂に入ってから22時頃には寝床に入りました。

 

 長くなりました。ここまでのらりくらり個人の旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。次の記事は2日目の朝から始まります。準備ができたら配信します。

 

 

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