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【旅レポ】2日目能登町の歩き方(後編)

よい旅レポートは、記者O個人の旅路をつらつらと紹介しています。
雑文で申し訳ありませんが、読んだ人が自分もどこか旅に出ようという気持ちになってもらえたらこの上ありません。(写真: 夕方の能登町小木港)

小木港

 中編は、10年ぶりの能登旅行に出かけ。能登空港から能登町の宇出津に入り宿泊するまでご紹介しました。今回は能登2日目、宇出津(うしつ)から移動します。現地スポットバレ含みます。

能登2日目の朝

 能登2日目。朝8時からまさしく“ちょうどよい朝食”を食べ、早速宿の前で釣りをします。この時、何か釣ってやろうという意気込みはありません。釣りをしながら宇出津港に停泊している漁船、港越しの集落や里山の素晴らしい景色を別れを惜しむように目に焼き付けます。

 

民宿ふわ

能登町 宇出津港

小木漁港

また必ず来ます!について

 旅先を離れる時、「また必ず来ます!」と言うことはありませんか?その時、本当にそう思うことも多いはず。しかし、その後、そうなっていないことも現実ではないでしょうか。好きになった土地にまた訪れたい。だけど、行きたい土地もまだまだある。それが繰り返されて、再訪したいけれど行くことのない土地の思い出だけが増えてゆく。

 

 「また必ず来ます!」という言葉は、もうその土地に来ないことに無意識で気付き、その寂しさを誤魔化すための言葉なのかもしれません。それに気づいてから、記者Oは「また必ず来ます!」とは言わなくなりました。今このようなことを考え、記者Oの顔は赤くなっています。

 

 さっさと話を戻しましょう。

 宿を9時30分にチェックアウトして、昨日立ち寄った「コンセールのと」のバス停に向かいます。停留所は能登町役場前です。今日は、路線バスで宇出津から車で20分ほどの小木(おぎ)地区に向かいます。隣の隣の集落あたりです。バス停まで歩きながら町並みを撮影しましょう。

 

能登町 宇出津港

能登町 宇出津港

能登町 宇出津港

能登町 宇出津

宇出津のスーパー
能登町 宇出津
地元スーパーの優しいサービス「お買い物バス」

路線バス停留所の出来事

 バス停に到着したのは9時45分。予定のバス出発時刻は10時45分。まだ1時間あります。分かっていて早く到着してのことです。理由は、初日同様、コーヒーを飲みながらパソコンを開くからです。いつの間にか身についたルーチン。旅先でバスを待つなら、パソコンでもスマホでもなく文庫本が合っていると思いました。

 ひと作業終え、少しぼぉーっとしていて時計に目をやると10時50分!?。壁一枚隔てていつの間に、いや時刻通りにバスは出発したのでしょう。記者Oは何かを信じてバス停に飛び出しますが時既に遅し。ここは日本。顔をしかめて時刻表を見ていると、別のバスを待つおばあちゃんが話しかけてきました。何かとおばあちゃんと縁があります。

 

おばあちゃんと路線バス

 おばあちゃんは、「バスを待っているけれど来ないのよ。」と言います。記者Oは行先を聞いて時刻表を確認しました。おばあちゃんが言うバスの出発時刻はありました。そこには土曜運休の印も。

 おばあちゃんにそのことと次のバスの時刻を伝えます。次は2時間後位です。がっかりするかなぁと思いきや。さらっと「そうだったのねぇ。時間つぶして待てば良いかねぇ。」と、余裕しゃくしゃく。記者Oは、「そうですね。そこにカフェもありますからねぇ。」と若干意味不明な返事を返しました。焦る旅行者と地元のおばあちゃんが対象的です。

 

コンセールのと

能登町 宇出津

能登町 宇出津港

 

 記者Oが乗る小木行きの次のバスも12時42分で約2時間あります。
 おばあちゃんと違い記者Oは時間に限りある旅行者。先を急がなければなりません。そばに停車していたタクシーで小木に向かいましょう。

イカの町のイカ物議

 小木は、全国有数のイカの水揚げがあります。能登町は、イカを町おこしや観光誘客に使っています。年に1度の恒例行事「イカす会」には1万人以上が集まります。小木から近い九十九湾の畔にはイカの施設「イカの駅つくモール」(2020年4月開館)があります。

 この施設の敷地に昨年4月、能登町長の鋭い読みで?巨大なイカのモニュメントが造設されました。その予算に国のコロナ地方創生交付金2,500万と町費500万が使われたと物議になりました。コロナ禍、無駄遣いとか不謹慎とか言われやすい案件でしょう。専門家も辛辣でした。

 

物議は思わぬ方向に

 まず、国内メディアがネガティブ気味に報道。その後、英国BBC米国ニューヨークタイムズなど海外メディアの報道で風向きが変わり始めます。コロナ禍の巨大イカは受けそうです。すると海外メディアが取り上げたと報じる国内メディアが出てきます(笑)。こうなると魔法的なPRの必勝パターンです。今では、巨大イカの経済効果が注目の的です。町は、その経済効果算出アドバイザーの募集を始めました。コロナ禍、観光客のパイが減っている中、既に巨大イカは町のシンボルです。めでたしめでたし。

 報道連鎖の一方で。能登町は、当初から淡々とコロナ後を見据えた投資と言い続けていたようです。この広報対応こそがイカだけに今の現状を作ってきたのでしょう。

観光スポットのとらえ方

 そのイカの町 小木で何をするかと言うとフィッシングです。カタカナで誤魔化しましたが、釣りです笑。能登に来て観光してないと言われそうです。本人的には、観光の真っ最中です。能登町はまるごと観光スポット。町全体がテーマパークで各地点のアトラクションを移動している感覚です。テーマパークの入場口と出口が空港です。

 能登町に来るまでアトラクション小木はノーマークでした。
 地図で見かけていましたが。きっかけは、前回の記事で紹介したふるさとタクシーのドライバーさんが、「釣りなら小木港。」「小木港のつり具屋の里磯で情報収集。」と教えてもらいました。更に「里磯が渡船している沖堤防に渡れば大物が出る。」と言うのを聞いたからに他なりません。でなければ今も宇出津か、今晩の宿泊地の九十九湾に向かっていました。

つり具「里磯」に到着

 ゆっくり走るタクシーの車窓から眺める内浦の景色を楽しみながら15分ほどで小木港に到着しました。

 

 タクシーを降りた所に料理店「一番舟」があります。この店もふるさとタクシーのドライバーさんに「小木で夕食取るなら、一番舟。」とレクチャーを受けたからです。前の記事から読んでいただいている方は、記者Oの旅はふるさとタクシーのドライバーさんで成り立っていることと思っていることでしょう。
 里磯は、一番舟から少し先ですが店を確認するためにここでタクシーを降りました。

 

 3分ほど歩いてつり具「里磯」に到着しました。店に入りここに来た経緯を店主に伝えると笑みを浮かべました。いつもこのパターンなのかと想像をして、記者Oも笑みを返します。これはいったい何のやりとりでしょうか(笑)

 

能登町 小木港 黒磯

 店の壁の掲示に目をやると沖堤防の渡船のことが書いてあります。堤防の名称は小木港東一文字です。渡船料は往復1,800円。港から10分もあれば到着するそう。だから定時運航じゃなく希望者が来たら渡船してくれます。帰りは堤防から電話して迎えに来てくれる。超良いシステムです。利用した人は、念のため事前確認して下さいね。

全くノーマークだった沖堤防へ

 店に借りたライフジャケットを装着して沖堤防に向かいます。船首近くを陣取ります。てか一人だけど。小型船は目線が海面近くで迫力があります。天気も良く気持ち良かったです。動画で疾走感を感じて下さい。

 

 堤防に先行者はいません。堤防も長さは約250m。横幅は十分。海面から堤防の高さがあるので乗り慣れた人向けと思います。 

 

 当日、堤防の上は強い風を受けました。大物が狙えるポイント(写真右の外洋側)で釣っていましたが風に釣りにくく若干恐め。直接風を受けない場所に座を構えましょう。堤防に上陸した階段下に移動しました。立て続けにベラを10匹ほど釣りました。釣ろうと思えばどれだけでも釣れそうな反応があります。ベラは写真まで撮影しないので証拠を示せませんが…。小いさい魚で外道扱いされがちな魚ですが、ここのベラはサイズが大きく手応え十分です。

 

 東京湾や相模湾で釣れるベラは5cm~17・8㎝位。ここでは25cm位のベラが数匹釣れましたこのサイズなら塩焼きでも十分でしょう。
記者Oは全てリリースですけれど。

 

小木港一文字堤防

 

納竿

 1時間経つと1人が堤防にあがってきました。アオリイカ狙いです。能登在住でこの堤防に通っているそう。やはり大物が出るポイントだと言います。釣り談義を楽しみました。

 

 強風で身体が冷えて疲れました。実釣2時間ほどですが納竿します。 記者Oの本命は高級魚ハタでしたが完敗です。電話すると直ぐ迎えが来ました。堤防から携帯が繋がるのには驚きました。電波はUQとヤフーです。海上における安全面からでしょうか。

 

 陸に戻り里磯のおかみさんと今晩泊まる宿「一水」のことを話をしていました。そうしていると、「一水まで送るよ。」と言います。何とも有難い言葉。ご主人が船の整備から戻ると、おかみさんが「一水に送ってあげて。」と伝えます。ご主人は「一水ね!」とひと言。そのやりとりが自然で優しい。しつかり感謝を伝えつつ記者Oも自然体で車に乗りました。写真は里磯前の風景です。

 

小木港 黒磯前

 

 5.6分で九十九湾に到着しました。さすが、日本百景を冠する場にふさわしい絶景です。静かで湖みたい。紅葉も見えます。その日の宿は、九十九湾の畔の民宿一水です。宇出津の民宿ふわ同様、一水も海の傍ら数メートルに建ちます。玄関の前の九十九湾はまるで庭です。

 

九十九湾

九十九湾とイカの駅つくモール

 すぐそこには「イカの駅つくモール」がありました。施設の横には、あの巨大イカのモニュメントがドーンと配されています。土曜の夕方なので人はまばらでした。印象は、「リアルで思ったより大きいな~」という感じ。写真は1回撮影しました。施設にレストランもありますが既に閉店しています。施設内の見学と食事は明日の予定です。

 

イカの駅つくモール

能登町 イカのモニュメント
全長9m高さ最大4mのイカのモニュメント(愛称:イカキング)

※訂正:金曜の夕方→土曜の夕方(2/10修正)

 

九十九湾あたりとか宿とか

 九十九湾入り口の辺りは、イカ施設と宿、幹線道路沿いにぽつぽつ住宅がある他、自然しかありません。商店もありません。幹線道路に街灯はありますが、夜は真っ暗でしょう。

 

 宿にチェックイン。部屋から九十九湾が見えました。宿はとても大きな2階建て日本家屋です。昨日のふわより大きそう。建物は古いですが部屋や廊下の保守、清掃が行きとどき安心します。これが能登で見られることであり、能登の人の特長と思うようにもなりました。

 

 その日は素泊まりです。小木の一番舟で夕食を取るため徒歩で再び移動します。距離は1.5kmほど。長いトンネルを歩いて山越えです。しかりした歩道ですが、明らかに法定速度以上のスピードでぶっ飛ばしてくる車があり背後に気遣います。

 

小木に戻って

 ゆっくり30分ほどかけて歩いて小木に到着しました。事前に滞在していた場所に、他の集落から戻ると、「おう、戻ってきたぞ。」と先輩っぽくなります(笑)。

 

 港と幹線道路を挟んだ住宅街にあるスーパーに酒やら買い出しにいきます。閉店時間を気にしてのことです。辺りの日が沈みかけてくる中、港沿いを歩いきます。

 

 一番舟の傍に昼は見かけなかった大型のイカ漁船が停泊しています。
 長い遠征ができそうなくらい立派な船。イカ捕獲用の仕掛けを積むイカ戦艦みたいです。この船の乗組員はきっとイカ御殿を建てていることでしょう。

 

小木地区

小木港

小木港 

地元の年配釣り人像

 イカ漁船を通り過ぎると老夫婦が釣りをしていました。バケツを覗くとアジやイワシ。本人たちの自宅はその場から5mほどにあり、奥さんが魚や道具を運んでいます。聞くと、「今日はあまり釣れない。」「魚を餌にしてアオリイカを釣る。」と言います。

 

 アオリイカは若い世代には疑似餌(ルアー)釣りがかなり流行っていてそのイメージが強いんですが、地元のご年配は伝統的な生魚を餌にした釣りを続けています。

 

 地方の年配の釣り人の多くは、釣りは趣味でなく日常。毎日の人も。釣った魚は食卓のおかずにしたり、中には漁協関係者に買い取ってもらったりもするそう。記者Oの趣味とは違います。

 

小木港

 

すっかり里磯ファン

 お世話になった里磯を訪ねます。渡船と宿の送迎のお礼を伝えます。ちょうど釣り人が持ち込んできたメジナを計測していました。なんでも里磯でメジナダービーをしていそうです。確か今計測しているメジナが40㎝位ありトップと言っていたような気がします。

 

 記者Oは、明日使う釣り餌の青イソメを購入します。この里磯の青イソメの質はほんと素晴らしい。ごつくて長さもちょうど良し。何より活きが良い。丁寧に管理しているそう。青イソメが岩イソメのレベルでしかも動きが良いと言えば、分かる人は分かるでしょう。
 里磯の青イソメは
感動します。宿に戻ってから青イソメの容器を開けて観察してしまいそうです。

 

黒磯

一番舟の夕食を

 いよいよ、一番舟に向かいます。観光客目線だと一番舟というネーミングから漁師料理=魚介類っぽく感じます。しかし、一番船は港で働く漁師さんたちや近所の人の為の料理店です。メニューは、定食や丼物が定番です。

 

 メニューを見て昨晩ふわで食べたカキフライを思い出しました。まずカキフライと冷やっこ、生ビールを注文します。牡蠣の産地 能登で味わうカキフライは美味しい2乗です。 

 

 次はメインディッシュで鍋焼きうどんを注文しました。グツグツ煮え立ち熱々です。湯気でメガネが曇っちゃいます。甘味とコクがある白味噌の汁です。汁がうどんに絡まり甘味が定着ing。モチモチ麺。身体も心も温まります。もちろん食材の良い。そしてその食材を知り尽くしているから調理、味付けが巧いから料理が美味い。

 

一番舟

一番船

一番舟

路線バスか徒歩か

 食事を終えると時間は19時でした。当時お店は20時閉店でした。歩いて帰ってもいいかなとも思いましたが、店の前にバス停留所(宇出津港)があります。次が最終の19時34分で30分待ち。宿まで早歩きで10分~15分?ネックは夜のトンネルでビシビシ感じる記者O。余裕ですがね。まぁ、急ぐ必要なんかありません。
 朝乗り損ねたバスに乗りたいという気持ちを満たすためバスを待ちます。スマホをいじったり、小木湾の岸壁から見えない海を見たりしてバスを待ちました。

 

乗車マナー

 19時34分ちょうどバスが到着しました。小木港を左手に幹線道路の向こうから向かってくる路線バスがカッコ良い。乗車時、「すみません、近いんですが九十九湾で降ります。」と伝えます。能登の路線バスは、降りるバス停の事前申告制が採用されています。なんて冗談です。

 

 誰も乗ることが無いだろうこの時期と時間のバスにいきなり一人の乗客が乗ってきて無言だったら、運転手さんはどうでしょう。降りる時はボタンを押しました。
 タクシーにちょい乗りする時の、「近いんですが」という言葉が出ちゃいました。東京の方便みたいなものです。

 

 バスは、記者Oが歩いてきたトンネルとは別のトンネルを通ります。
前者は小木と九十九湾を結ぶ新しい直通ルート。バスは、狭い住宅エリアから旧トンネルを抜け、九十九湾奥沿いの金沢大学海洋研究所停留所を過ぎて5分ほどで九十九湾入り口に到着しました。

暗闇に光るもの

 バスの停留所は、旧のと線「九十九駅」の旧駅舎の前辺りです。そこから宿に向かうと目に飛び込んできたのが、例の巨大イカのモニュメントのナイトバージョン。驚きました。常備灯が巨大イカを照らしますが周辺は真っ暗です。その中、巨大イカが煌々と光っています。良い意味でシュールでデラックス!「町長、やるじゃん!」という言葉を言わざるを得ません。

 

 その時、何か動く気配を感じました。一瞬血の気が引きました(笑)。
巨大イカに隠れていて確認できていませんでした。観光客らしき2人組が写真を撮っています。記者Oの存在を確認してか撮影が加速します。20代前半位の若い2人にプレッシャーを与え、あとで撮り忘れがあったらかわいそうです。

 

夜間の現場対応

 少し近寄り、「直ぐそこなので、ゆっくりどうぞ。」と声をかけました。「ありがとうございます!」と感謝されました(笑)。ある意味季節外れ。能登半島の日本百景、夜の九十九湾の畔で煌々と光る巨大イカが中心に、記者Oのとっさの判断で若い2人から感謝されました。

 

 しばらく撮影が続いた後、車で2人が去りました。記者Oの順番です。次はそこにいる白いワンピースの女性1人だけです。イカは周囲360度から撮影できるので何気に時間がかかります撮影を終えた時、現場は記者Oだけになっていました。夜の巨大イカ。怖がりの人は2人以上で撮影しましょう。

 

 夜だと全く見えない九十九湾も感じながら巨大イカを堪能しました。宿に戻りお風呂に入りさっきのは何だったのかを考えて、11時頃就寝しました。青イソメの観察は止めておきました。

 

イカの駅

イカの駅

九十九湾 イカオブジェ 

 

 ここで今回のよい旅レポートを終わります。次の第4回目のレポートは、能登3日目の最終日についてです。

 

 ここまで読んでいただき有難うございます。
 ご存じの通り?記事の一部にフィクションが含まれています。また、公式な取材を伴わない記者O個人の旅を書いています。現地情報など正確性に欠けることもあるかもしれません。詳しくは、関連サイト「能登観光ガイド」や能登町役場等に問合せ下さい。

 

※記事中の釣具店の名称で「里磯」であるところ、「黒磯」と誤りがあり修正しました。ご関係者様ならびに読者様、大変失礼いたしました。それにしても本当に良い釣具店でした。以来、あのクオリティの青イソに巡り合えていません(2022/10/28)。

 

 

関連サイト

能登町観光ガイド
https://notocho.jp/

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