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【地元から通信】食と酒、もちろん温泉(北海道登別市)

「地元から通信」シリーズ11回です。今回は、みなみ北海道名湯の地、登別市で観光に携わる野島さんの寄稿をお届けします。名湯の地というと、まず泉質や湯巡りが話題に上るもののですが、野島さんのお薦めは、セイコーマートでも購入できるご当地グルメ。街中散策の合間や湯上りタイムを充実させてくれる登別のおいしいグルメがありました。(写真:紅葉の登別地獄谷)

登別市の地獄谷

皆さん、初めまして。登別市観光経済部商工労政グループの野島と申します。
私は登別市に来て、実はまだ1年と少し。それまでは、米軍横田基地がある東京・福生市役所の職員として働いていたのですが、昨春に友好都市の登別市へ派遣されました。

 

登別市へ来たことがなくても、その名前を知っているという方は多いのではないでしょうか。私もその1人でした。そう、登別市は日本有数の温泉のまち。ザ・ドリフターズの名曲「いい湯だな」の歌詞にも「♪ここは北国 登別の湯」と歌われていることで、ご存じの方もいらっしゃるのでは?
その印象は、もちろん間違っていません。登別温泉街に足を踏み入れると鼻腔をくすぐる硫黄の香り、立ち上がる湯気。私はこの1年間に、50回以上も入湯しました。

 

しかし登別は温泉だけじゃない!ということで、今回は、登別市の「おいしい」魅力をご紹介いたします。

登別市の特徴

登別市の名前は知っているけれど、北海道のどこにあるのか、分からない人は多いのではないでしょうか。北の玄関口・新千歳空港から車で南西に1時間ほど、札幌市から1時間半ほどの場所に位置しており、市の南側は雄大な太平洋に、北側には登別温泉やカルルス温泉を抱く山々に囲まれた、東西に長いまちです。

 

また、市内の一部は「支笏洞爺国立公園」に属していて、観光地と自然に恵まれた地域です。登別市は山の中の温泉のイメージが強いためか、海に面していることを知らない人は道民でも多いのですが、道内の有名な漁港町にもひけを取らない海の幸が水揚げされます。

登別市の海の幸

登別市内には漁港が2カ所あり、新鮮な魚介類を味わえます。
名物は、たらこや毛ガニ、カレイやホッキ貝などなど。生食はもちろんのこと、加工品も多く扱われています。
私自身、登別に来て驚いたのが、近所のスーパーの生鮮コーナーにも獲れたての海産物が安価で並んでいたこと。味はもちろん抜群で、「登別、最高だなあ」と感じたのを覚えています。

 

個人的なオススメは、市内で獲れたたらこを贅沢に使ったたらこキムチ「登別たらこ地獄漬」。こちらは、登別市がイチオシする「登別ブランド推奨品」にも選ばれています。なんせ、酒に合うのです。ピリ辛のヤンニョムが効いた「地獄漬」を箸先でつつき、日本酒を冷やでちびちびといただくと、この上ない喜び。

 

ちなみに登別市では、日本酒は造られていませんが、地ビールが醸造されています。この地ビールについては後ほど紹介します。「地獄漬」をおつまみに旭川の銘酒「男山」で一杯引っかけている写真をご紹介します。酒にもご飯にも相性抜群です。

登別たらこ地獄漬

また、市内の飲食店で頼むお刺身や太巻きも実に美味。至福のひとときです。

登別市太巻き

恵みの雨でうまさが増す登別市の山の幸

登別市は畜産と酪農も盛んなまち。おいしい牛肉、豚肉の他、市内で獲れた新鮮なエゾシカの肉を加工した商品や、高品質な乳製品も豊富です。
一説によると、海が近く降雨量が多い登別市は、海水のミネラルをたっぷり含んだ牧草がよく育ち、動物の成育にも優れているのだとか。ちなみに登別温泉の豊富な湯量も雨の多さに由来するもの。雨、感謝です。

 

さて、肉でまずオススメしたいのが「のぼりべつエゾシカ」シリーズ。登別市内にはエゾシカの1次処理施設があり、猟師に捕らえられたエゾシカを新鮮な状態で解体できます。その新鮮な風味を缶詰に閉じ込めたのがこの商品です。

 

かつて都内で鹿肉を食べたことがありますが、妙な臭みがあり、肉も固くて、「次はもういいかな」という感じでした。登別のエゾシカは、その逆。臭みがなく、柔らかく、「また食べたい」と思わせる味なのです。この缶詰は、エゾジカの旨味が凝縮されています。

 

他にもおいしいのが、登別のブランド豚・のぼりべつ豚を使ったジンギスカン「登別豚ジン」。先ほども触れたように、酪農の盛んな登別は牛乳もおいしく、その乳由来のホエイで育った贅沢な豚さんがのぼりべつ豚です。その柔らかい肉質は、タレの効果もあり、火を通しても固くなりません。フライパンで野菜と一緒にさっと炒め合わせればすぐに口の中に放り込める手軽さも魅力です。

ジンギスカン「登別豚ジン」

お次にご紹介するのが酪農の商品。まずは市の名前も冠した「のぼりべつ牛乳」です。登別市内の牧草を食べてすくすく育った牛さんから生まれた「グラスフェッドミルク」を、風味が飛ばないよう低温殺菌した逸品で、飲み口はすっきりしているのに、口中に広がるまろやかな甘さはまるで生クリームのよう。

 

なんと市内の小学生は、のぼりべつ牛乳を学校給食で飲んでいて、舌が肥えすぎて将来が心配になります。
この牛乳を使ったソフトクリームやジェラートなどおいしい加工品も多く、登別市民に愛されている牛乳です。 

のぼりべつ牛乳ソフトクリーム
のぼりべつ酪農館
のぼりべつジェラート
北海道登別のジェラートショップ なな色のヒカリ

そしてそんなおいしい乳から生まれた、これまたおいしいチーズ。
種類が多くて、どれをお目にかけるか悩ましいのですが、今回は「登別チーズ ニュービアンカ【乳白華】」をご紹介します。

 

コクが深くて、ブルーチーズのような臭みがないため、チーズが苦手な人にもオススメです。なんでも、白カビチーズという日本では珍しい種類とのこと。そのおいしさは嘘をつきません。道民ご用達のコンビニチェーン・セイコーマートの安くてうまいワンコインワインと共に、ちょびちょび食べます。

登別チーズ ニュービアンカ
登別チーズ ニュービアンカ【乳白華】(のぼりべつ酪農館)

閻魔(えんま)を冠する登別市のご当地グルメとは?

ここまで、海の幸、山の幸の魅力をご紹介してまいりました。そんな登別市近郊の食材を使ったご当地グルメが「登別閻魔やきそば」です。
ちなみに登別は、観光名所・地獄谷にあやかって、閻魔様や鬼にまつわるものがたくさん。市のゆるキャラもかわいい鬼の子です。

 

登別市で「閻魔やきそば」を名乗るためには「閻魔の掟」と呼ばれる3つの条件を満たしている必要があります。1つ目は、登別近郊の食材を使っていること。2つ目は、北海道産小麦100%の平麺を使っていること。3つ目は、閻魔大王指定のタレというゴマ風味のピリ辛タレを使っていること。

 

面白いのが、この「掟」を満たしていれば提供店舗ごとにアレンジが自由な点。現在、登別市内の24店舗で提供されていて、それぞれのお店で食材はもとより提供スタイルにも工夫が凝らされ、普通のやきそばスタイルから、やきそばパンや春巻き、温泉まんじゅう、ドーナツなんかもあります。

閻魔やきそば
閻魔やきそば
閻魔やきそば

最近だと地元の高校生が「閻魔の掟」を踏まえたオリジナルの閻魔やきそばを考案し、学校祭や地域のお祭りで振る舞って大人気、という嬉しいニュースもありました。
ちなみにこの一皿は、のぼりべつ豚の挽肉を使用したジャージャー麺風スタイル。私もイベントで頂戴しましたが、お世辞抜きに美味しくてお替わりしちゃいました。

閻魔やきそばジャージャー麺風スタイル

登別市はビールの名産地

先ほど少し触れましたが、登別市では地ビールが造られています。そして、ただ造られているだけでなく、全国の品評会で1位に輝くおいしい地ビールなんです。
製造元のわかさいも本舗さんは、北海道でおなじみの、なんとお菓子メーカー。ですが、登別の店舗にはしっかりとビール製造工場があり、店内からビールプラントを見ることもできます。

登別地ビール
地ビール工場

通年で販売されているのは「鬼伝説」と呼ばれるシリーズで、さわやかな青鬼ピルスナー、フルーティーな赤鬼レッドエール、ホップ香る金鬼ペールエールという鬼尽くしの3種類。どの鬼も、パッケージの絵は怖いのですが、なめらからかなのどごしが最高です。また、有志の協力を得て登別市内でホップの栽培も行われていて、その登別産ホップを使った「ヌプルペッ・ペールエール」は毎年冬に限定醸造される人気商品です。希少なので、もし見かけたら非常にラッキー、迷わず飲んでみてください。

登別温泉 地ビール
のぼりべつ地ビール・鬼伝説シリーズ
登別地ビール

高め合う食と温泉

「登別は温泉だけじゃない」をコンセプトに、ここまで多くの言葉と写真で登別市のおいしい魅力をお伝えしてまいりました。しかし、誤解することなかれ。東京から登別市に来た私が、登別の温泉にハマっていないはずがありません、最高級の温泉が登別で皆さんを待っている!
ということで、最後に登別の温泉について少し紹介させていただき、今回の原稿を締めさせていただきます。
改めて登別市には、大きく2つの温泉地が存在します。1つが登別温泉、もう1つがカルルス温泉。

極楽商店街
極楽通り商店街

登別温泉は9つの泉質が湧く世界的にも珍しい温泉地で、極楽通り商店街を中心としたいわゆる温泉街が広がっています。
地ビール「鬼伝説」シリーズは、温泉街の酒屋さんはもちろんのことセブンイレブンでも販売されていますので、湯上がりの一杯にぜひ!

日帰り湯 登別温泉
温泉街の日帰り湯「夢元さぎり湯」

山あいの隠れ家的なカルルス温泉は長く湯治場として親しまれてきた温泉地。泉質は単純泉という、産湯にも使えるお湯で、長湯しても湯あたりしません。静かにのんびり過ごすにはもってこいの温泉地です。
ぜひ登別にあそびにいらして、甲乙付けがたい両温泉を心ゆくまで堪能し、さらに登別の美味しさにも舌鼓を打ってみてください。

カルルス温泉
カルルス温泉

 

文章:野島 良太(登別市観光経済部商工労政グループ)

担当業務は、特産品やご当地グルメのPR、創業支援等。登別市への着任は、コロナが落ち着き始めた時期で、イベント再開や新規事業の立ち上げなど、忙しくも楽しい仕事に携わっています。

趣味は、ドライブ、登山、おいしいものや温泉巡り。登別に来て、「北海道観光マスター検定」や「温泉ソムリエ」を取得。また、道内の道の駅127箇所を2年連続で全制覇。休みの日は、道内のいいものを探しに、車でかけ巡る生活で、北海道をどっぷり満喫しています。

 

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